インタビュー

ストレイテナー

1年ぶりとなるニュー・アルバムが堂々の到着!! 進化したサウンドで新しい物語の幕開けを告げる3人にもう敵はいないぞ!!


 いまを遡ること数年前、2人組だった頃のストレイテナーのライヴは、〈鬼気迫る〉という言葉がぴったりの壮絶なものだった。親の敵とばかりにドラムをひっぱたく(それはいまでも変わらないが)ナカヤマシンペイと、思いきり歪ませたギターを掻き鳴らしながらエモーションに溢れた美しいメロディーを歌うホリエアツシは、日本のインディー・ギター・ロック・シーンのなかでも飛び抜けた個性派だった。その後、2003年にベーシストの日向秀和が加入し、さらに強力なバンド・サウンドを得て現在に至るわけだが、激しさのなかに秘められた明確なポップさ、クールさ、歌詞のドラマ性、そして有無を言わせぬロック的存在感のカッコ良さは、1年2か月ぶりのリリースとなるサード・アルバム『Dear Deadman』においてさらなる進化を見せている。

「音像をクリアに聴かせたいというのが、いちばんの変化かもしれない。いままでは曲で聴かせる感じだったけど、今回は曲単位ではなく楽器単位。いい曲作ろうという意識じゃなくて、おもしろい曲を作ろう、プレイして楽しい曲を作ろう、という感じです」(ホリエアツシ、ヴォーカル/ギター:以下同)。

『Dear Deadman』は、前作『TITLE』で採り入れたダンス・ビートやキーボード系の音色をすっかり自分たちのものにして、さらに先へと突き進んだ超強力なエモーショナル・ダンス&ギター・ロック・アルバムだ。同時代のディスコ・パンク系バンドたちとの自然な類似性に加え、レディオヘッドやアンダーワールドらを思わせるフレーズも飛び出すなど、90年代のロックやダンス・ミュージック、ポスト・ロックといったサウンドの正しい継承も見逃せない。

「そのへんの海外のバンドには負けねぇぞ、と(笑)。最近の〈古いものがカッコいい〉という傾向はあんまり好きじゃないんですよ。ちゃんと消化して、積み重ねていってほしいから。僕らはどんどん上に伸びていくぶん、下に引きずっていたものを切り捨てている感覚があります。そうやって徐々にストレイテナーの核の部分がデカくなってきたのが自分でもわかるから、何かに似てるとか、そういうことは一切考えなくなった。カッコいいものはカッコいい、ダサイものはダサイ。どっちに着地するか、ですからね」。

 現実と幻想との間にある扉を行き来するような、メランコリックな目眩を感じさせる独特の歌詞の世界観は、研ぎ澄まされたギター・サウンドとホリエのナチュラルな歌声によく似合う。〈Deadman〉という謎のキャラクターがあちこちに登場するが、解釈は聴き手の想像に委ねるという。

「それは〈自分〉だったり、〈親友〉だったり、〈恋人〉だったり、何でもいいんです。ただ〈Dear〉だから、親しみは持ってもらいたいですね。温かいものや優しいものを求めている感じは、歌詞を書くうえでいつもあります」。

 また、5月から7月にかけて行われる全国ツアーにも注目だ。なんと、公演初日となる5月14日の会場は東京・NHKホール。未知の大ホールで、3人はいったいどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? ストレイテナーの飽くなき前進は続く。

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掲載: 2006年03月09日 16:00

更新: 2006年03月09日 22:13

文/宮本 英夫

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