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インタビュー

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 オオヤユウスケ(Polaris)の〈オ〉、原田郁子(クラムボン)の〈ハ〉、永積タカシ(ハナレグミ)の〈ナ〉が合体して、o~~~hana!! このたびめでたくファースト・アルバム『オハナ百景』を完成させたこのスーパー〈コーラス〉グループ(って言い方はどうも似合わないけど)を前にして、まず訊いてみたのは彼らのバンド名について。どうでしょう、これは……カッコ良いのでしょうかね(笑)?

「どうしよう、訊かれちゃった(笑)」(原田郁子)。

「アハハ。でも思わず口に出してみたくなるよね」(オオヤユウスケ)。

「区切りを変えると〈オーアナ〉になるんですよね。なんせ僕ら〈大穴〉狙ってますから(笑)」(永積タカシ)。

 一度聴いたら耳から離れない音が詰まった作品であり、バンド名の独特な響きもまた然り。もとから仲良し3人組ってことはよく知られている彼らだが、2004年に原田のソロ曲“トゥインクル”のレコーディングで3人いっしょにハモってみた時に、このバンドのアイデアが芽生えたという。

「でも、最初から〈コーラス・グループ〉という型を作りたくなかったんですよね。例えばウェイラーズとかジャクソン5って、コーラス・グループなのかバンドなのかって区別しないじゃないですか。ソフト・ロック(・グループ)のフリー・デザインみたいなコーラスもいいねと言ってたのに、やっていくうちにどんどんはみ出してきちゃった」(永積)。

「僕らソフトじゃなかった。熱かったんですよ」(オオヤ)。

「のぼせちゃうんですよ、3人でいると。〈まぁまぁ〉って冷ましてくれる人がいない。テンションが上乗せされていく感じで」(原田)。

〈テンション高し〉というシールはどの曲にもペタッと貼り付いている。ミーターズ“Hey Pocky Away”を思わせるポカポカなファンク“ohana song”に、フォーキーな賛美歌“ヒライテル”、スカに料理したラモーンズ“I Wanna Be Sedated”のカヴァー、キュートなビッグバンド・ジャズ“くすり の くすり”のほか、男子2人の持ち味でもあるメロウネスがこぼれるスロウ・ナンバー“Heavenly”や“Blue”などが取り揃えられ、その音世界の色彩は実にカラフル。聴いていてふと〈南の島で生まれたサイケ・アルバムみたいだ〉と思ったりも。何と言うか、どこか目を細めながら、都会から楽園を眺める3人が見えたりもしたけれど。

「具体的にどこっていうよりね、とにかく3人いっしょにいると、いまどこにいるのか一瞬わからなくなる(笑)」(永積)。

「めまいがする(笑)。どこでもないところに行ける気がするんです。ohanaってハワイ語だと〈家族〉っていう意味なんだけど、ohana=ハワイでもないし」(原田)。

「すべてのアレンジも、〈みんなで集まったときに聞こえてくるもの〉を追いかけて、その先にあるものを掴まえた感じというか」(オオヤ)。

 そして何より、単純明快さこそがこのバンドのほかならぬ魅力と言える。

「〈削ぎ落としてる〉とか〈引き算の音楽〉とかじゃないんだよね(笑)。そういう表現がまったく似合わないバンド」(オオヤ)。

「とにかく、何を見てもビックリしたり喜んだりしてる感じがアルバムには出てると思う。5歳くらいの精神状態で作ったかもしれない(笑)」(原田)。

 このアルバムは、彼らが1個の水筒の水を分け合いながら、望遠鏡を取り合いっこしながら旅する様を映し出しているのだが、その和気藹々ぶりは3人の音楽が放つ眩しさと繋がっている。そこがステキだ。

「まだまだ旅は続くって気がしてる。いろんな景色を……」(原田)。

「探したいね~」(オオヤ)。

「探したいね~、俺たちのガンダーラを……(一同爆笑)」(永積)。

PROFILE

ohana
Polarisのオオヤユウスケ、クラムボンの原田郁子、ハナレグミの永積タカシから成るコーラス・グループ。十年来の友人であり、ライヴやレコーディングでもたびたび共演してきた3人が、原田の2004年作『ピアノ』に収録された“トゥインクル”のレコーディングで顔を揃えたことをきっかけにして、2005年秋に結成。同年10月の〈朝霧JAM〉で初ライヴを行い、その衣裳や振り付けといったヴィジュアル・コンセプトも含めて評判となる。2006年2月にシングル“予感”でデビュー。同曲のプロモ・クリップとして製作された、廣木隆一監督によるショート・ムーヴィー「予感」も話題を集めた。このたびファースト・アルバム『オハナ百景』(コロムビア)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年03月30日 00:00

更新: 2006年04月06日 22:07

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/桑原 シロー