インタビュー

DOPING PANDA

メジャー・デビューから1年あまり、ついに投下されるニュー・アルバムはロックのカッコ良さを見事に体現したダンディーな一撃だぜ!!


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 もう、笑っちゃうくらいにカッコいいのである。ハード・ロックとダンス・ミュージック、そのうえパンクにソウルにメタルに4つ打ち。極上キャッチーなメロディーや微妙な胡散臭さもすべてひっくるめて、ロックのカッコ良さを体現する愛すべき3人組、DOPING PANDAがついにメジャー・ファースト・アルバム『DANDYISM』を完成させた。中身? だから笑っちゃうくらいにカッコいいんだって。聴けばわかるさ。

「別に使命感はないけど、この歌謡大国ニッポンで勝負できる作品を作らなきゃいけない、という自分自身に対する挑戦はありました。DOPING PANDAが売れるということは、少し先の未来にまで意味を持つことだと思うので」(Yutaka Furukawa、ヴォーカル/ギター:以下同)。

〈機械仕掛けの高性能ダンス・ロック〉とか言うといかにも今風だが、彼らの本質はそこだけじゃない。それはリーダー・Furukawaの音楽遍歴に基づく、いわば〈性〉のようなものだ。

「高校生の時に楽器を始めて、いきなりがっぷり四つでメタルとハード・ロック。西の片田舎で生まれちゃったんで。輸入盤を売ってるお店にも通ったんですけど、そこのオヤジが(レッド・)ツェッペリン・オタクで、行くたびに〈新しいブートが入ったよ〉って。なんの勉強にもならない(笑)。でもDOPING PANDAが持っている特異性として、ハード・ロックの仰々しさやショウビズ的なところと、クラブ・ミュージック好きからくる匿名性とかが変に合体してオリジナリティーが出たんじゃないかな。いまメタル・リヴァイヴァルとか、マッシュアップとかが流行ってるし、スペース・カウボーイとかもそうだけど、ちゃんちゃらおかしいですよ。俺はそれを自然体でやってるぞ、と」。

 ちなみにタイトルの〈DANDYISM〉とは〈貴族の精神論〉であり、響きが良くて付けたものの、その意味の深さに後で改めて感銘を受けたそうな。

「流行や人に合わせるんじゃなくて、俺がこう思ってるんだからいいんだよ、という見せ方、マナーのこと。かといって奇を衒うことではなく、経験があり、周りを観察する能力に長けている人が自分の主張でカッコ良さを貫くのが〈DANDYISM〉」と言いつつ、「やせ我慢の理屈ですけどね」と笑う。意外なロマンティストぶりを発揮する歌詞の良さも含め、聴き手をたっぷり遊ばせてくれる懐の深さを持った大物である。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年04月06日 23:00

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/宮本 英夫