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インタビュー

メレンゲ

柔らかく揺れる体温に春を思う……極上のポップ・アルバムが完成!!


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 そのあっけらかんとしたバンド名とは裏腹に、メレンゲが発信する音楽は初々しくも切なく、どこか懐かしい匂いがする。そのワケは、ときおり電子音の舞い散るポップなギター・サウンドにあるのか、すれ違う感情や見落としがちな風景を丁寧に拾い上げた詞に隠されているのか。いや、それはやはり、確信と迷いの間で揺れていそうなあの声にあるんだろうと思う。

 2002年、クボケンジ(ヴォーカル/ギター)のソロ・ユニットとして出発したメレンゲは、同年5月に初のミニ・アルバム『ギンガ』をリリース。翌2003年にタケシタツヨシ(ベース)、ヤマザキタケシ(ドラムス)を加えて現在の編成となり、先述の『ギンガ』や『少女プラシーボ』(2003年)など4枚のミニ・アルバムがいずれも好セールスを上げてきた。そして、今回ついに先行シングル4曲を含む初のフル・アルバム『星の出来事』が登場する。ほぼすべての楽曲で作詞作曲からアレンジまでを手掛けるのは、自他ともに認める宅録派のクボだ。

「ギターばっかりじゃなく、シンセをいじって曲作りすることも多いけど、最後は〈体温を感じる歌モノ〉に落とし込まないと気が済まない。やっぱり自分の根っこの部分だから」(クボ:以下同)。

 例えばギター・ポップとエレクトロニックな音をこれまで以上にブレンドした“東京”では、「夢を抱いて上京して、というありがちな青春ソングにはしたくなかった」と語るとおり、キラキラしつつも苦くてしょっぱい都会の風景がスケッチされている。

「いまの自分たちのすべてを出し切ってる感はメチャクチャありますね。それで、ここからまた新しく始まるという感じ」。

 初のアルバムに詰め込まれた数々のストーリー。それはメレンゲの今後への布石にもなるかもしれない。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年04月06日 23:00

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/宗像 幸彦