インタビュー

Hoobastank

大ブレイクに踊らされることなく、着実に前進し続ける3人が放った渾身の一撃!


世界中に感動の渦を巻き起こした『The Reason』から2年ぶりとなる新作『Every Man For Himself』インタヴューの最後に訊いた。前作と今回のアルバムはストーリー的に繋がっているの?と。

「ファースト・アルバムと『The Reason』は繋がっていて、映画の続編みたいな感じだったんだ。今回は同じ監督とアクターを使った、内容的にはまったく違う映画。前作は恋愛関係が70%で信念や人生哲学は30%だったけど、今回はそれが逆転しているんだ」(ダグラス・ロブ、ヴォーカル)。

 彼の言葉は〈欲望〉という邦題が付けられた今回のアルバムを的確に表しているように思えた。冒頭の“The Rules”では軍隊の上官が部下へ訓示する様を描き、続く“Born To Lead”ではアジるかのような勢いで〈僕はひたすら突き進む〉と歌う。壮大なロック・バラードに仕上がった“If I Were”では、今あるものに感謝しようという想いを綴った。先に挙げた“Born To Lead”はダグラスにとって「今回のテーマを
確立した曲」で、原題『Every Man For Himself』が意味する〈君は一個人として、自分の人生を生きる力があるんだ〉という意志に相応しい楽曲が収められている。

「世の中ではネガティヴなことはが起こっているけど、その問題を解決するには自分は何者かを完全に理解する必要がある。そうすることで、結果的に他人の力になれると思うんだ」(ダグラス)。

 サウンド面では流れ作業でデモを再現するだけだった前作の反省を踏まえ、特に決め事もなくスタジオでセッションしながら楽曲を進化させた。それが彼らにはバンドを始めた頃のように楽しかったらしく、ダン・エストリン(ギター)は「同じパートを繰り返し演奏するだけでも楽しかったからね」と満足げに語る。初期衝動と自信はバンドの演奏にダイナミズムとスケール感をもたらし、美しいメロディーと歌心溢れ
るヴォーカルとの相乗効果で楽曲はよりいっそうドラマティックに展開していく。スタジオでのやりとりも「プロデューサーのハワード(・ベンソン)は〈型にはまらない〉とずっと言ってたよ」(クリス・ヘッス、ドラムス)というもので、ロック史に残る名曲の幻影に惑わされることもなかった。

「今回も恋愛についての曲はあるし、よりメロディアスになってるけど、『TheReason』に少しでも似てる曲があったら、そこで止めてたんだ(苦笑)」(ダグラス)。

▼フーバスタンクの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年04月20日 19:00

更新: 2006年04月28日 14:19

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/岡部 昭彦