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インタビュー

santara

情感豊かなヴォーカル、洗練のサウンド……大躍進の新作です!!


 まさに会心作。サンタラ、待望のセカンド・アルバム『WAIT, CATCH & RUN』は実に肉体性の高い作品に仕上がった。ブルースやフォーク、それにロックンロール。ふたりの音楽性を語る際、ルーツ的な音楽への言及は常套手段ではあるのだが、しかしここに並ぶ12曲は、紛れもなくこの混沌とした今を生きる人間たちの微熱のような息吹が込められたものだ。

「レコーディング期間が飛び飛びで長かったので、全部に全力投球っていう感じのアルバムになったなぁと(笑)。その間にライヴもやってきたから、ライヴの影響が出てきたなと思いますね」(田村キョウコ、ヴォーカル)。

 それだけに作品の表情の豊かさとノリはジャンプ・アップ。そんな充実したセッションの結晶ともいえるこのアルバムは、楽曲に魂を吹き込んだ同志といえる参加ミュージシャンたちとの絡みも大きな聴きどころである。ギターの藤田厚史、ドラムスの朝倉真司はライヴでもお馴染みの顔ぶれだ。

「ライヴでもサポートしてくれてるから、音の機微を読み取ってやってくれて、僕らもそれに乗りやすかったというか。で、どのミュージシャンも〈歌〉を聴ける人なんです。たぶんメロディーを心の中で歌いながらプレイしてくれていると思いますね。そうすればやっぱり歌も背中を押されて、イキイキしてくるじゃないですか」(砂田和俊、ギター)。

 そしてデビュー当時からのプロデューサーでもあり、キーボード・プレイヤーとしても本作で大活躍なのはご存じ森俊之。さらに“チェルシー”“家出少年”では沼澤尚(ドラムス)、“思い過ごしの効能”ではリクオ(ピアノ)、最大級にパワフルなセッションだったという“My name is boogie”ではジャズ畑で活躍する荒巻茂生(ウッドベース)……と、錚々たる名前が並ぶ。こうした猛者たちからふたりが得たものは相当大きそうだ。

「20代、30代、40代、50代……先輩のミュージシャンの年代によって、言うことがみんな違うんですよ(笑)。だけど、その〈俺が若い頃はこうだった〉というのが〈あ、あれはこういうことだったんだ〉って、少しずつわかるようになってきましたね。そうして教えてもらったことが私の中ではすごく役に立ってる。掴んでいけてるというか。それは螺旋階段みたいなもので、同じところを登りながら、でも伸びてると思うんですよね」(田村)。

 まさにサンタラの成長が刻印されたアルバムだ。それにしてもタイトルには身につまされる。〈忍耐力、判断力、そして行動力〉一一こっちも成長したいもんだなぁ、と。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年04月27日 18:00

更新: 2006年04月27日 19:37

ソース: 『bounce』 275号(2006/4/25)

文/青木 優