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インタビュー

U-DOU & PLATY

ピュアで熱いメッセージを伝えるオキナワン・レゲエが本土上陸!!


 沖縄に生まれ育った生粋のウチナーンチュであるレゲエDJふたり組、U-DOU & PLATY。揃ってタイガーやスーパー・キャットといったレゲエDJの名を挙げるふたりは、80~90年代のレゲエを自身の身体に染みつけ、ACKEE & SALTFISHを聴いて日本語のDJに開眼。みずからマイクを握るまでに至ったという。その頃のレゲエに対する彼らの愛着は、クラシックなリメイク・オケも随所に見られる音や先達のDJの曲のフレーズをもじったコミカルな一節などにもあきらか。そこに沖縄という地に脈々と息づく音楽やウチナーグチ(=沖縄の方言)が重ね合わされることでほかでもないふたりの音楽が生まれる。〈沖縄への2泊3日の旅〉を全体にイメージしたという、彼らにとって2枚目となるフル・アルバム『Big Up ~我した島沖縄~』もまた然り。幼い頃から「自分の耳に自然と入ってくる」(U-DOU)音楽と合わさったそれは、彼らにとって生活と地続きな日常の音楽だ。そしてそれは、〈南の楽園〉という聴き手の沖縄的なイメージにもぴったり重なる。

「特別に家で聴いたりしないけど、国際通りを歩けばお土産品屋から沖縄民謡が流れてくるし、十五夜になればエイサー(=沖縄本島の盆踊り。各家庭や地域を踊りながら練り歩く)をやってる。ベタな民謡を裏打ちで乗せるのにも全然違和感はなかった」(PLATY)。

 沖縄の日常と結びつくそうしたふたりの目が、米軍駐留の現実などと隣り合わせになるのもまた自然なことなのだろう。今作に収録された“上等沖縄”でふたりは、かの地が置かれた現状を背景に、そこに生まれ育った者の誇りを歌っている。

「現実を伝えていくこともレゲエには必要。沖縄も戦争で10万人くらい亡くなってますし、戦争の話もちっちゃい頃から呪文のように聞かされましたから。〈○○のお父さんの足がなくなったのは爆弾のせいだよ〉とか。不発弾処理はいまでも2か月に1回くらいやってるし、米軍のヘリが落ちたりもしてるわけで」(PLATY)。

「そういうことを、いま俺たちが思ってるメッセージとして聴いてもらいたいし、本土で聴いてる人にもただ楽しいだけじゃないよってことを伝えたい」(U-DOU)。

 問題を抱えつつも前へと進む。U-DOU & PLATYはその一点において、自分たちの音楽が人々の日々の活力になりうるものだとも考えている。

「無駄なことは考えずにポジティヴにいきたいですね」(PLATY)。

 ――願わくば、それが聴く人々の行く先をも照らすものとなりますように。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年05月11日 18:00

更新: 2006年05月25日 19:38

ソース: 『bounce』 275号(2006/4/25)

文/一ノ木 裕之