peridots
比類なき歌声とメロディー。たったひとりでシーンに登場し、ライヴで大きな注目を集めた希有な才能がいよいよデビュー作をドロップ!! bounce.com限定でお届けするperidotsインタビュー未公開ヴァージョンも合わせてどうぞ。
「自分のなかで弾き語りっていう選択肢はなかった。人前でギターを弾くっていうのは一生やらなくていいんじゃないかっていう。バンドのときもハンド・マイクにヴォーカルでいいじゃんて思ってたし。だから弾き語りっていうのがperidotsを始めるポイントっていうか鍵だと思います」。
かつて組んでいたバンド=no pen時代、あるイヴェントで不可避的に弾き語り出演することになった高橋孝樹は、唯一無比のハイトーン・ヴォイスと身震いするほど美しいメロディーで結果的にみずからの本格的な音楽キャリアの扉を開ける。彼が〈peridots〉という名前をジョニ・ミッチェルのファースト・アルバム『Song To A Seagull』収録曲から発見したのは2002年のこと。それはつまり新しい、驚愕の才能が芽吹いた遅すぎる瞬間だ。
「自分ではソウル・ミュージックをやってる気分です。音楽的な意味じゃない、ソウル・ミュージックとかゴスペル。どういう曲調であれ最終的にはそこに落ち着く感じっていうものを自分でイメージしてます。ロック的に即効性があって〈ワー!!〉ていうものよりは、遠赤外線みたいにジワジワジワってくる熱みたいなものを音楽に求めてるのかもしれないです」。
洋楽嗜好の耳にもスンナリと侵入する、60~70年代シンガー・ソングライター的なオーソドックスでゆったりとした歌ものロック……というだけでは、このファースト・ミニ・アルバム『peridots』から受け取るものの大きさを伝えきれない。ファルセットから中低域まであまりにも魅力的な奇跡の歌声に、後半にいくに従ってソウルフルに昂っていくメロディーに見られるものは、まさしくゴスペルに通じるホーリーな感触であり、音楽が本来的に宿す中毒的な作用だ。
「〈イカせたい〉みたいなのはやっぱりありますね。オーガズムっていうか、絶頂を共に味わいたいっていう」。
鈴木茂やキタダマキ(Syrup16g)、城所紘志(JUDE)らの骨太なバックアップや、〈愛〉にまつわる希望と虚無を活写した歌詞も伴って、高く高く昇り詰めていく感覚。それが『peridots』に収録された素晴らしい5曲に横溢している。
「コード進行や転調がどうとか、音楽的な知識で巧みな曲を作るわけではないけど、なにをいちばんがんばりたいかっていったらやっぱり〈イイ曲〉を書きたい。いくら声が良くても飽きちゃうって自分でもよくわかってるから。ロックも歳取っちゃったけど、まだなにかできると思うんで、がんばろうと思います」。
音源リリース前に初ワンマン・ライヴをソールドアウトさせたperidots。中学、高校時代、アレサ・フランクリンを部屋でバカみたいに歌っていたという少年=高橋孝樹の輝かしいキャリアはまだ始まったばかりだ。
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