インタビュー

THE CORONA

中南米音楽を革新する、妖艶かつダイナミックな演奏に酔いしれる!!


 2003年に結成された8人組バンド、THE CORONA。中南米音楽にロックやクラシックなど、雑多な音楽を貪欲に採り入れた彼らのサウンドには、聴き手の心と身体をグイッと抱き寄せて(ときに熱い接吻までカマしてしまうような)得も言われぬ〈引き〉の強さと、入り込めば入り込むほどに、次々と新たな魅力が見えてくるような奥の深さがあって、その様相は例えるならば、腕っぷしの強さと知性を兼ね備えた名うてのラテン・プレイボーイ(ガール)。ラテン音楽愛好家や夜遊び好きの間で、噂が噂を呼んでいるいまの状況も、実にむべなるかな。セカンド・ミニ・アルバムとなる『裏と表のカサノヴァ』でも、彼らは〈酒池肉林〉という言葉がピッタリなジャケットそのままに、ブ-ガル-からクンビア、ニューオーリンズ・ファンクまで、さまざまな音の贅を尽くしたハイブリッドなサウンドを聴かせてくれる。

「ラテン音楽に対するこだわりはもちろんあるんですけど、必要以上にそこに囚われたくない気持ちもあって。自分たちが気持ちいいと思ったら、ラテンではありえない、ロックっぽい8ビートとか普通に入れたりするし」(古川尚篤、ドラムス)。

「ジャンルに関係なく、いろんな音楽が聴けるいまみたいな時代に生きてるからこそ、自然とこういう音になっているような気がするんです」(アヤ・ルッカ、キーボード)。

「このバンドで歌うかぎり、嘘はつけない気がして。〈クールに〉とか〈お洒落に〉じゃなくて、いかにして伝えたい感覚をダイレクトに伝えるかが大事だから」(うい、ヴォーカル)。

 都市の息吹をリアルに感じさせるタフなリズムと、めくるめく享楽的なメロディーの渦に一度その身を委ねてみることを強烈にオススメします。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年06月08日 14:00

更新: 2006年06月08日 20:03

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/望月 哲