インタビュー

SPECIAL OTHERS

ジャム・バンド好きからJ-Popリスナーまで虜にする幅広い音楽性・・さらなる飛躍を予感させる新作を聴いてみよう!!


 昨年の〈フジロック〉では約4,000人の動員を記録。12月に行われた東京、大阪でのワンマン・ライヴを成功に導くなど、急激に注目度を上げているSPECIAL OTHERSが3枚目のミニ・アルバム『IDOL』を完成させた。高い演奏技術から繰り出されるインプロヴィゼーションを軸としながらも、決して自己満足に陥ることなく、ごく一般的なJ-Popファンもしっかり楽しめるであろうポップネスを感じさせてくれるのが彼らの特徴なのだが、その方向性は本作においてさらに明確になっている。そのことをもっとも端的に表しているのが、4つ打ちを絡めた激キャッチーなメロディーが炸裂する表題曲だろう。

「“IDOL”はサビのドラムがポイントになってますね。良太の4つ打ちが入ることによって、曲の構成がバチッと決まったから」(芹澤優真、ヴォーカル/キーボード)。

「ちょっと抵抗があったんですよ、最初は。サビでいきなり4つ打ちになるっていう展開はちょっとキュートすぎるというか……。〈SPECIAL OTHERS、ポップになっちゃったね〉とかって言われちゃうんじゃないかって。でも、他のメンバーが〈すごくいいよ〉って言ってくれたから、思い切ってやってみました。あんまり考えすぎないで、気持ちよければいいじゃんっていうのが、俺らのコンセプトなんで」(宮原良太、ドラムス)。

 ジャズからアフロ、マンボまでを自由自在に行き来する楽曲は、いずれもいわゆる一発録りでレコーディングされている。他の誰にも似ていない、圧倒的な個性を持った4人のプレイヤーから生み出される〈人力グルーヴ〉こそが、このバンドの魅力なのだと思う。

「あんまりエフェクトなんかを使わないで、楽器本来の音だけでやる。そこにはかなりこだわってますね。オーヴァーダビングも一切してないし、音の加工もほとんどやってないので」(宮原)。

「(音の)セッティングも決めてなくて、その日のスタジオでなんとなく音を出して、〈今日はこれが気持ちいいから、これでやろう〉って感じです」(又吉優也、ベース)。

「だから僕らの演奏には、かなり人格が出てると思いますね。普段の会話のキャッチボールが演奏のなかに反映されてるというか」(柳下武史、ギター)。

「パーソナリティーが多く含まれてるほうが、聴いてくれる人とも繋がりやすいと思うんですよ。演奏してる人間の顔が見える音楽が、いまの音楽だと思ってるので……。それに僕ら、楽器がなかったらホントにただのダメ人間ですからね(笑)」(芹澤)。

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掲載: 2006年06月22日 19:00

更新: 2006年06月22日 19:49

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/森 朋之