インタビュー

TEDDY GEIGER

美しい音楽を奏でる彼の正体は……なんと弱冠17歳のシャイ・ボーイ!


 ジェイムス・ブラントやダニエル・パウターといった才能溢れる新人の登場により、男性シンガー・ソングライターの活躍が目立っている。そんななか現れたのが17歳のテディ・ガイガーだ。NY出身の彼はTV局VH1が主催するオーディションでプロデューサーのビリー・マンと出会い、最終審査で落ちるものの、その才能にビリーが惚れ込んで初めてマネージメントを手掛けることを決めたという逸材。このたび日本盤で登場したばかりのファースト・アルバム『Underage Thinking』では、ジェイムスらに通じる美メロも聴かせてくれる。

「オーディションに落ちた後、90曲入りのデモテープをビリーに送ったんだけれど、このアルバムはそれをベースにしながら、プロダクション面で彼が大いに手腕を発揮してくれたものなんだ」。

 90曲とは驚くが、それらは8歳でソングライティングを始めた時から書き溜めていたもの。オーガニックなアルバム作りを得意とするビリー・マンがそれらを作品として完成させたわけだが、しかしながらメロディーにはほとんど手を加えていないのだとか。

「スタジオでビリーとコラボレートしたのは3曲のみ。それ以外はメロディーを生かしつつ、歌詞を書き直したもの。例えば、“Try To Hard”は恋愛未経験の時に空想で書いたラヴソングだったので、経験後にリアルな感情を付け加えたんだ(笑)」。

 彼が早熟であることはこの発言からもわかる。経験がないぶん空想を膨らませることで、ラヴソングを書いていたなんて。でも、空想で遊ぶ癖がいまとなっては役立っており、経験をベースにするようになった現在も、ストーリー性をごく自然に歌詞へと持ち込むことができる。17歳ながら音楽面では大人顔負けの成熟度。その反面、素顔の彼はとてもシャイで「インタヴューにうまく応えられないのがイマイチ」なんて照れくさそうに告白する。言われてみれば、ショウケースでもかなり緊張していた。それでも今作は全米チャートで初登場8位とその注目度に相応しい状況となっている。

「最初にチャートを見た時は、誰かがCG合成でいたずらしたんだと思った。嬉しいけれどヘンな気分というのが正直な気持ちかな」。

 この初々しさ、さすがは17歳だ。とはいえ、テディのような才能の登場がさらにシーンを活性化させていくことは間違いないだろう。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。

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掲載: 2006年08月03日 21:00

更新: 2006年08月03日 21:19

ソース: 『bounce』 278号(2006/7/25)

文/服部 のり子