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インタビュー

二階堂和美

またまた、おとしましたよ! 大勢の仲間たちと作られた、集大成的アルバムが完成!!


「発案の段階からイルリメくんに参加してもらっているんです。作曲は半々くらい。歌詞は全部書いてもらっていて」。

『二階堂和美のアルバム』という、とんでもなくストレートなタイトルが付けられたニュー・アルバムでは、渋谷毅、レイ・ハラカミ、SAKEROCK、赤犬、テニスコーツら10組のアーティストが入り乱れるように彼女とセッションをし、奔放なアレンジを施している。さらに詞曲のベーシックな部分は二階堂和美とイルリメの共作である。一見すると矛盾するタイトルだが、まぎれもなくこのアルバムは〈二階堂和美のアルバム〉でしかない。

「『また、おとしましたよ』(2003年)で、セルフ・プロデュースの宅録的な作り方には気が済んだというか。もうちょっとしっかりと、強く歌を歌いたかった。だから、最初から歌に焦点を当てていて、いっしょにやる人にもそれを共感してもらってから作業を進めました。どの曲も出来上がりに不安は全然なかったんです」。

 3年近くの時間をかけてじっくりと構想を練り、コツコツと辛抱強く作られた本作には、彼女の信念と、それを貫くだけの自信と、それを支えてきた協力者の思いがパンパンに詰まっている。お馴染み笠置シヅ子“アイレ可愛や”のカヴァーから、スウィンギーでアッパーなジャズ、グリッチ音を活かしたエレクトロニカもある。ギターの弾き語りも入っている。アウトプットされたものは、飛躍的な成長を遂げたあるひとりの女性シンガーの記録であり、同時にそれをとりまく人々との信頼関係の記録でもある。

「協力者がこれだけいるんだから、きちんと評価されないとね。私のことを知っているという人にも、知らなかった人にも、まずはこれを聴いてもらって、それからほかの作品を聴いてもらいたい。マニア向けのアルバムも用意してあるから(笑)」。

 この原稿で言いたいことはあまり多くない。ただ、強調しておきたいのは彼女のことを〈不思議ちゃん〉だと思っていた人、インディー・シーンのカルト・スターだと捉えていた人は、この『二階堂和美のアルバム』という作品でその認識を改めるべきだということ。そして、二階堂和美を知らずにいた人は、この名前を頭の片隅に留めておいてほしい。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年08月24日 22:00

更新: 2006年08月24日 22:42

ソース: 『bounce』 278号(2006/7/25)

文/ヤング係長