インタビュー

avengers in sci-fi

人力ダンス・ビートに踊り狂う! 宇宙的深遠さを感じさせるスペース・ギター・ロックが登場!!


 R.E.M.のアルバム『New Adventures In Hi-Fi』をソラミミ化して名付けられたというバンド名のインパクトも相当だが、メロディックでスピード感溢れるバンド・サウンドと、打ち込みのダンス・ビートを合体させたセンスの良さがタダモノじゃない。結成から4年を経て、avengers in sci-fiのファースト・アルバム『avengers strikes back』が満を持しての登場だ。

「いいメロディー、いいアレンジのバンドはたくさんいるけど、ひとつの大きな世界観や、映像が浮かんでくるような、ひとつ上のレヴェルのバンドをめざしているので。それを感じてもらえると涙が出るほど嬉しいです」(コハタタロウ、ギター/ヴォーカル)。

 もともとHi-STANDARDなど〈AIR JAM〉周辺のメロディック・パンクにハマり、そこからアンダーワールドなどのダンス&ロックを経て現在のスタイルに辿り着いたという、根っからの現場主義バンド。足元にズラリと並ぶ「公称20個(笑)」(コハタ)というエフェクターが大活躍する、あくまで人力主体のライヴの熱さ&激しさが、CDの中身としっかりシンクロしているのもいい。

「本当にすごいことをやりたかったら、わけのわからないリズムを打ち込んで流せばいい。でも、それをライヴでやれるのか?というと無理だし、プレイ自体にナマへのこだわりはあります」(ハセガワマサノリ、ドラムス)。

「無理矢理人力でやってるところから、ありえないフレーズやオリジナリティーが生まれてきたと思います」(コハタ)。

 そして、歌詞。「あくまで音の気持ち良さが主体」(コハタ)と言いつつ、また大好きだという〈スターウォーズ〉を思わせるコズミックな単語をあちこちに散りばめつつ、しっかりとメッセージを込めることも忘れちゃいない。

「例えば渋谷とか歩くと、人がすごいじゃないですか? ひっきりなしに携帯電話が掛かってきたり、ネットの掲示板に書き込んでそっちが現実になってしまったり……そういうストレスの多い現代の状況を、直接的ではないけれど忍ばせてるつもり」(コハタ)。

 つまりキーワードは〈解放=開放〉と見た。心と身体をカイホウする、イマジネーション豊かな音の波に酔ってほしい。

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掲載: 2006年08月31日 22:00

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/宮本 英夫