インタビュー

Alexisonfire

スクリーモ・バンドが氾濫するなか、ズバ抜けた熱量を放つヤツらから届いた入魂の一撃!


  メタリックなギター・リフと絶妙にキャッチーなメロディー、魂を鼓舞するシンガロング──2005年の〈サマソニ〉で熱のこもったステージを披露し、会場に居合わせた人々を圧倒したカナダ出身の5人組=アレクシスオンファイアが、3枚目となるニュー・アルバム『Crisis』をリリースした。彼らが属するスクリーモ・シーンには、現在多くのバンドがひしめき合っている。新しいバンドが次々と現れる一方で、気がつくといつの間にか消えていってしまうバンドも少なくない。前2作で確固たる支持基盤を築いた彼らではあるが、そういった状況のなか3作目をリリースすることへのプレシャーはなかったのだろうか。

「あまり深くは考えなかったよ。一気にやったという感じかな。ヒットしなかったらしなかったで、まぁその時はその時という姿勢だった」(ジョージ、ヴォーカル:以下同)。

 デビュー・アルバムでそれまでの蓄積をすべて出し尽くし、その後、迷走し失速してしまうバンドも少なくないが、彼らの場合は方向性を極端に変えることもなく、作品を重ねるごとに着実にスケールアップしている。

「テーマは特に想定していなかったけど、ライヴでやりたい曲を満載したアップ・ビートなアルバムを作りたいと思った」と語るとおり、今回のアルバムは全編に漲るテンションが聴き手を昂揚させる強力な作品に仕上がっている。絶叫ヴォーカルとメタリックなギターがユニゾンで進行していき、爆発的なコーラスへと繋がるオープニングの“Drunks, Lovers, Sinners And Saints”を聴いた瞬間、そこらのバンドとの実力の違いを見せつけられた気がした。彼らこそ、混沌としたシーンのなかで最後まで生き残るバンドだと確信させられる。

「〈スクリーモ・メタル・バンド〉って、最近ではみんな避けたがっている言葉になりつつあるね。表面的で薄っぺらな感じがするからじゃないかな。だけど僕はそう呼ばれるのに抵抗はないよ。このジャンルがもっとまともに受け止められるように、何とかしたいと思っているんだ」。

 何とも頼もしい発言! 今年10月には〈テイスト・オブ・ケイオス〉での来日も決定している。シーンを背負って立つことができるまでに成長した彼らの姿を、ぜひこの目で確かめたい。
▼アレクシスオンファイアの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月14日 14:00

更新: 2006年09月14日 23:56

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

文/粟野 竜二