インタビュー

NIGHT JUNGLE

レゲエもアフロも渾然一体! 密林からやって来たジャム・セッション集団がヴェールを脱ぐ!


 ディジュリドゥ1本を抱えて、あらゆる音楽家たちとの共演を続けるGOMAが、日本レゲエ界の凄腕たちと2003年に結成したのがNIGHT JUNGLEだ。結成当時は土生“TICO”剛、内田直之らを中心にするセッション・ユニットだったが、その後メンバーチェンジを経て、MASTER PATA(DRY & HEAVY)、大石幸司(LITTLE TEMPOほか)を擁する5人組となった。ただし、GOMAが「ごく自然に出会った人たちと音を鳴らしたくて始めた」と話すように、彼らは単にディジュリドゥを中心にしたレゲエ・バンドというわけではない。

「ディジュリドゥに合わせていくうちに、別にレゲエじゃなくてもいいのかな?って思えてきて。それで今回のアルバムみたいに拡がりのある演奏になってきた」(MASTER PATA、ベース)。

〈今回のアルバム〉とは、彼らのファースト・アルバム『JUNGLE CRUISE』のこと。「ディジュリドゥの響きを活かさないと、NIGHT JUNGLEの意味がない」(PATA)――そんな全員の思いと、レゲエ以外のさまざまなサウンドにも対応できるメンバーの懐の深さが相まって、今作はジャム・バンド風のサウンドやアフロ・グルーヴまでが混在する、メンバーの経歴からはイメージできないほどの幅広さを持つこととなった。

「みんなそれぞれ凄い道を通ってきたから(笑)、そんな部分が自然に出てきてるんじゃないかな」(GOMA、ディジュリドゥ)。

 このバンドについてGOMAは「凄く自由な感じ」と話すが、そこには確固たる信頼関係があるのだろう。今作を聴いていると、その絆の強さも感じ取ることができるのだ。

「お互いのことをわかっていって、壁が取れてからいい感じになってきた。その積み重ねで深い音に到達できるようになった」(GOMA)。

「今までもバンドはやりたかったんだけど、海外にいたりしたからやりたくてもできなかった」と話すGOMAに、〈このバンド、楽しそうですね〉と訪ねると、「うん、楽しい(笑)」。5人の音楽家によるジャングル・クルーズは、何が飛び出すかわからない楽しさと刺激に溢れたものなのだ。
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掲載: 2006年10月05日 22:00

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/大石 始