インタビュー

Yum!Yum!ORANGE

キュートなだけじゃない、新たなスタイルにチャレンジしたスカ・パンク・バンドが、ジューシーなポップ・アルバムをリリース!!


 99年の結成以来、ヴォーカリストの交替などを乗り越えて名古屋から全国へと認知を広げている男女6人組のスカ・パンク・バンド、Yum! Yum! ORANGEによる4枚目のアルバム『Jelly Beans』が完成。ファッション誌への露出などでもお馴染みのキュートなヴォーカリスト、KUMIの溌溂とした歌声を中心とした、いままで以上にポップでキャッチーなサウンドが満載されていると同時に、それだけでは終わらない大胆な遊びも散りばめられており、そのバランス感覚は心憎いほどだ。バンドの司令塔、RYU(ギター)は語る。

「今回はアレンジを進めるうえで、自分のなかでの〈正統派な曲〉と〈いままでの形を打ち破る新たな曲〉との2つのカテゴリーに分けて考えました。シングルの“Brand New Day”なんかは言ってしまえばスカではないのですが、そんな曲をヤムヤム流にアレンジしたらどうなるのか、ってことには前から興味を持っていたので、今回の作曲/アレンジは自分でも楽しみながら作業ができましたね。冗談半分のアレンジがそのまま採用になったりね」(RYU)。

 ラップやハード・ロック調のギターを交えた“Dreamer”や意外にも初のバラードとなる“夕焼け色の恋”、「今回はいままででいちばんリズムを意識した」というRYUの発言を裏付ける横ノリの“プレゼント”など、スカ・パンクの枠組みに収まらないカラフルな楽曲が並ぶが、その真ん中にはRYUの書く明快なメロディーとKUMI、IZUMI(トランペット)によるガーリーな歌詞がある。その強固なコンビネーションは、ここにきてポップソングとしての完成度を飛躍的に高めた。

「(RYUは)基本的に私の思う詞の世界観をすごく大事にしてくれますね。特に今回は詞を書き貯めていたので、〈ここのサビではこう歌いたいから、出だしは上がる感じで〉みたいに難しい注文を出すことが多かった。でも、よりいっしょに作ってる感が増えたので、単純に楽しんで作れました」(KUMI)。

「歌い回しや詞の乗せ方、リズムの取り方に関して2人で意見が食い違った場合はお互いが納得するまでとことん意見をぶつけ合いましたね。後は歌う本人が〈この曲を歌いたい!〉って気持ちになれないと曲も生きてこないと思うので、そういう点も曲作りにおいては重要視しました」(RYU)。

 数曲の共同アレンジを手掛けた藤井丈司、松岡モトキも彩りを加え、『Jelly Beans』からはYum! Yum! ORANGEのジューシーな旨味が滴る。何をやっても楽しい!って感じでしょう、いまの彼らは。

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掲載: 2006年10月19日 19:00

更新: 2006年10月19日 20:27

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/内田 暁男