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インタビュー

PAULA DEANDA


 ネットと地元ラジオでのブレイクがきっかけで、アリスタ代表にして音楽界の重鎮であるクライヴ・デイヴィスの目に留まり、メジャー・デビューを果たしたポーラ・ディアンダ。彼女はまだ16歳の現役高校生だ。デビューしたてのティーンということで、こちらがそのつもりでインタヴューを始めると、電話の向こうから聞こえてきたのは、大人びた口調でテキパキと質問に答える彼女の声。影響を受けたというアリシア・キーズを育てたクライヴ相手のオーディションでも、この物怖じしない性格が功を奏したようだ。

「クライヴって大物だったのよね(笑)! オーディションの準備は特にしなかったわ。部屋に入っていって、上手く歌えることを祈って歌っただけよ。チャンスは1回しかないってわかってたから、その機会を活かせるようにしたわ。緊張よりはエキサイトしてたわね」。

 オーディションの翌日には契約を果たし、ポーラいわく「その2か月後にはアルバムも完成していた」という。そんな新世代歌姫のデビュー・アルバム『Paula DeAnda』のクレジットには、錚々たるプロデューサーやソングライターの名前が並んでいる。ボーイフレンドにしつこく〈会いたい〉とメッセージを残してしまう恋心を歌って、全米のティーンから共感を呼んだ先行シングル“Doing Too Much”は、ベイビー・バッシュやフランキーJを手掛けてきたハッピー・ペレスのプロデュースだ。

「ハッピーは素晴らしいプロデューサー。彼自身が思っているより、ビッグな人物だと思うわ。彼はスポットライトに当たる目立ちたがり屋のプロデューサーとは違って控えめでクールだけど、物凄いプロデューサーよ。彼と仕事ができて光栄だわ」。

 また、それに続くシングル曲の“Walk Away”を手掛けたのは、USでも活躍している北欧のプロデュース・チーム、スターゲイト。デビュー時から彼らとタッグを組んでいたクリスティーナ・ミリアンも同曲のソングライティングに参加している。

「スターゲイトの2人も素晴らしいわ。彼らはたくさんのビートを聴かせてくれた。“Walk Away”は私のお気に入リよ。“So Cold”も凄く好き。この2曲は同じ日の夜にレコーディングしたの。彼らはノルウェーに住んでるから、今日中に絶対この曲をやりたいわって言って仕上げたの」。

 他にもデンジャ&ティンバランドやフランキーJ、ダイアン・ウォーレンらが参加。昨年から今年にかけてヒット曲を輩出し続けているニーヨもソングライターとして登場し、彼らしく美しいメロディーを提供している。また、デビュー作ながら、ポーラ自身が数曲でソングライティングを手掛けているのもトピックだろう。どの楽曲もポーラのフレッシュでキュートな魅力を十分に引き出すR&Bポップに仕上がっているが、それと同時に子供の頃からゴスペルで鍛えた彼女の高いヴォーカル・スキルをしっかりアピールした作りになっている。〈声のレンジが広いですね〉と言うと、ポーラは自身のヴォーカルをこう表現した。

「そうね、私のヴォーカルは力強いけど、ソフトに歌うこともできるし、広いレンジの声を持ってると思う。マライア・キャリーに比べられることもあるし。それは嬉しいけど、彼女のほうが声は出ると思うわ。私は16歳だけど、この歳にしては力強い歌声を持っていると思う。6歳の頃から歌っているからね」。

 インタヴュー中の発言からも見て取れる16歳とは思えない冷静さ、そして自信たっぷりなアティテュードが頼もしいポーラ嬢。クライヴ・デイヴィスのお墨付きを得たこの現役女子高生シンガーが、これからどこへ向かうのか、非常に興味深い。

PROFILE

ポーラ・ディアンダ
テキサス州はサンアントニオ出身、現在16歳のシンガー。セレーナやリアン・ライムスに憧れ、10歳頃から地元の結婚式やチャリティー・イヴェントに出演して歌を披露していた。2002年にプロ・デビューをめざして同州内のコーパスクリスティに家族で移り住み、現在のマネージャーと出会う。2005年にシングル“What Would It Take”でデビューを果たし、続けざまにベイビー・バッシュをフィーチャーしたセカンド・シングル“Doing Too Much”をリリース。ローカル・ヒットとなった同曲の成果を受け、今年に入ってアリスタとメジャー契約を結ぶ。8月にファースト・アルバム『Paula DeAnda』(Arista/BMG JAPAN)を発表し、このたびその日本盤がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年10月26日 23:00

更新: 2006年11月09日 22:10

ソース: 『bounce』 281号(2006/10/25)

文/松田 敦子