THE BLUE VAN
タワレコの店頭から火が点いたファースト・アルバム『The Art Of Rolling』が、口コミのみで広がってヒットを記録。昨年行われた来日公演も大盛況であったデンマークの若きガレージ・バンド=ブルー・ヴァンが、ついにセカンド・アルバム『Dear Independence』で本格的な日本デビューを飾った。
「日本で人気が出たとことは凄く嬉しいね。去年日本に行った時も凄く楽しかったし、また行けることを楽しみにしてるよ。日本のリスナーはアンダーグラウンド・シーンに対してちゃんと興味を持ってるから、凄くいいと思う」(ソレンV・クリステンセン:以下同)。
彼らは幼馴染み同士の4人によって12歳(!)の時に結成されている。現在24歳であるから、もうすでに12年の活動歴があるのだ。
「最初は僕のおばあちゃん家の地下室で、ただ楽しむためにやっていた。昔のブルースをジャムってたんだよ。すごくシンプルで覚えやすかったからね。自分たちのサウンドとかルックスについて、どういうふうにしたいっていう計画はなかったんだ。ただみんなでプレイを始めただけさ。バンド名の由来? 昔デンマークでは精神を病んだ人を病院に運ぶ時に、青い車を呼んだんだよ」。
近年は北欧のガレージ・バンドが注目されているのだけど、ブルー・ヴァンの音楽を注意深く聴けばもっと深いところのリズム&ブルースをルーツに持つロックンロール・バンドなのではないかと思う。
「君の言うとおりだね。僕たち自身は自分たちのことをガレージ・バンドだって思ったことはないんだけど、ハイヴスなんかが出てきて北欧に一大ガレージ・ブームが起こった時に、僕らもいっしょのカテゴリーに入れられちゃったんだ。でもそのおかげでいろいろ注目もされたから、良かったんじゃないかとは思ってる」。
例えば、ハモンド・オルガンの響きやスケールの大きいソウルフルなリズム感はスモール・フェイセズのようなモッズ的感性があるし、全体的に60'sブリティッシュ・ロックの香りがするのも大きな特徴である。
「ちょうどジミ・ヘンドリクスやクリームを知った頃、僕たちは音楽をやりはじめたんだ。だからその2つからは自然と大きな影響を受けたね。その少し後にザ・フーやスモール・フェイセズにハマって、いまは初期のスタックスやモータウンもの、ゾンビーズなんかをよく聴いているよ」。
何より彼らのサウンドを印象付けているのは、そのヴィンテージ感溢れるアナログなサウンド・プロダクションで、これにはちょっとしたレコード・コレクターの方々も感心するのではないだろうか。
「僕らは全員とてつもない楽器コレクターなんだけど、基本的には自分たちの耳と感覚を重視してる。温かくて自然なサウンドが好きなんだ。そういう音を可能にする唯一の方法は、真空管のアンプと良いマイクを使ってアナログ・レコーディングをすることなんだよ。このアルバムではスタジオでバンドがジャムってるようなユルいフィーリングを表現したかったから、デジタルなものを使って修正したり強調したりすることは一切やらなかった。プロデューサーといっしょに卓の前に何時間も座って、〈これぞ!〉という音を探し求めたんだよね」。
この『Dear Independence』は前作を上回るヴィンテージ・サウンドに包まれた、しかしソリッドな魅力も持ち得ている素晴らしいロック・アルバムに仕上がっている。日本盤のリリースによってさらに彼らの魅力が広まるのではないかな、と思う。
「凄く楽しみだよ。みんなが今作のアナログなフィーリングをちゃんとわかってくれて、気に入ってもらえるといいな」。
PROFILE
ブルー・ヴァン
ステフェン・ウェストマーク(ヴォーカル/ギター)、アランF・ヴィラドセン(ベース)、ソレンV・クリステンセン(オルガン)、パーM・ヨーゲンスン(ドラムス)から成る4人組。94年頃にデンマークのブロンダースレヴで結成され、現在はコペンハーゲンを拠点に活動中。2003年の秋にリリースしたデモテープをきっかけに、TVTと契約を結ぶ。2005年にファースト・アルバム『The Art Of Rolling』でデビュー。同作は輸入盤のみのリリースにも関わらず、タワレコ新宿店を中心に日本でも話題となった。同年末にはイヴェント〈BAND STAND〉で初の来日公演を行う。このたびセカンド・アルバム『Dear Independence』(TVT/ビクター)をリリースしたばかり。