インタビュー

ANATAKIKOU

いつになく開かれたサウンドと、真っ直ぐなメッセージを受け取ろう!


 文字数の都合上、結論から先に書いてしまうと、ANATAKIKOUにとって3枚目となるニュー・アルバム『Message Pie』は、力強く実直で開かれた作品だ。ポイントは、〈歌と歌詞をリスナーに届けることを意識している〉ということ。あたりまえのことのようにも思えるが、実践するのはそう簡単なことではない。

「いろんなバンドがおるなかで、ANATAKIKOUはいったいどういう位置付けで、どう思われているのかということを考えたら、メロディーをもっと前に出さんといかんなと。いくらカッコ良いアレンジにしても、前衛的なバンドじゃないし。アレンジを練って70%を得るよりは、メロディーで100%のところをめざしたい」(松浦正樹、ギター/ヴォーカル:以下同)。

 巧妙に繰り出されるフレーズ、癖のあるメロディー、含みのある歌詞……そういった要素から、これまでの彼らに対して与えられていた〈ひねくれ感〉という評価は、一方で照れ隠しにもなっていた。だが本作で鳴らされる楽曲は、そういった要素をギリギリまで抑えて、裸になった自分たちの芯を剥き出しにしている。

「青臭くても〈伝えたい〉という気持ちを持っていたい。リスナーにも〈やっぱりANATAKIKOUは外せない〉と信じてもらえるバンドにならなきゃあかんと思うんです。そのためにアホな奴らが一生懸命キレイな歌を歌おうとしているんですから(笑)」。

 自分たちの表現の核を再構築する作業。文字どおり一皮剥けた彼らの成長の結果である本作は、ジャンルに縛られることなく多くの人に届くはずだ。

「メンバーとも〈もしかしたら大人になったんちゃう?〉っていう話をしていて(笑)。このアルバムでひとつ抜けたんちゃうかな、という気持ちはあります」。

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掲載: 2006年11月30日 20:00

更新: 2006年11月30日 23:15

ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)

文/ヤング係長