インタビュー

スチャダラパー

コン10ポラリーなコン10ツ満載の10枚目は、ヴァラエティー豊かなトラックと、思わずニヤリの時事ネタに唸る大傑作だ!!


  スチャダラパーによる2年半ぶり、10作目となるニュー・アルバム『con10po』が完成した。スチャダラ史上初の試みとして、昨年の11月から今年の8月までネット上で毎月発表してきた楽曲のなかから候補を厳選し、さらにブラッシュアップ。そこに新録曲を盛り込んで、一枚のアルバムに仕上がった本作。これまで誰もやったことがない制作スタイルにトライしていく精神は、さすが彼らである。また、リリック面も彼ららしく、現代の世の中で多くの人が〈何か変だな〉と感じていることについての描写が、これでもかというくらいに詰まっている。

「今回は毎月書き下ろしだったんで、時事ネタや、リアルなものを入れていったほうがおもしろいんじゃないかな、と思って作ってました。制作期間中はトピックも多かったし……メディアに持ち上げられてた人たちが全員コケて〈ハイさよなら〉って感じでさ」(アニ、MC)。

 「ただ生活してても〈オレのせいじゃないのにオレが悪い〉みたいになってることがいっぱいあるでしょ。なのに誰も何も言わないから、まずはグチからいってみようって感じでしたね」(BOSE、MC)。

 一方サウンド面では、ジャジーなイントロ“con10ts”で幕を開け、ディスコチックな“Disagree~涙のディスアグリー”から、ノイジーなディスコ・パンク風味の“ジャカジャ~ン”まで、いつになく幅広いトラックが用意されている。

「毎月作ってたから、〈前回はディスコだったから今回はヒップホップやってみようか〉とか、わりと振った感じです。歌詞もそうだけど、〈こういう曲がないし、聴きたいから作りました〉っていうのは多いですね」(シンコ、DJ)。

 タイトルの『con10po』は、〈コンテンポラリー〉〈現代の〉〈同時発生的な〉という意味に取れるが、まさに混沌とした現代をサヴァイヴする力強さが、本作のクォリティーの高さに繋がっているんじゃないだろうか。

「いまって、どんな仕事をしてても環境はハードでしょ? ここで勝つためには甘いこと言ってらんないってことをみんな考えてると思うけど、ホント大変。でも、グチみたいなことばっかだけど、何かしらのモノが出来たのは良かったな、って。僕が感じてることを、みんな別の形で感じてると思うんです。僕らなりの思いが音に出てるから、そこを聴いてほしいですね」(BOSE)。

「アルバム作り……がんばったっすよ。意外にこういうアルバムを作ってなかったかな、って。いろいろなことを経て、現代社会に鋭いメスを入れたのか? 入れなかったのか? そのへんの判断はリスナーに任せます(笑)」(アニ)。

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掲載: 2006年12月07日 20:00

更新: 2006年12月14日 22:07

ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)

文/土屋 恵介