インタビュー

cutman-booche

ブルージーで温もりに溢れた〈boosoul〉、ここに極まる!!


 cutman-boocheのサウンドを聴いていると、音楽というのはプレイヤーとリスナーの間で育まれていくものだということを痛感させられる。多少不器用かもしれないけれど着実に熟成されてきた彼らの音楽が、大地に根を広げ、鮮やかな緑色と歯応えを持つホウレンソウのように葉を広げる。金宮たすく(ヴォーカル/ギター:以下同)は2006年を「自分たち的に挑戦してきた年」だと語る。念願の〈フジロック〉出演も果たし、ハッピーで温かなオーディエンスのヴァイブスを受けて、伝えることの大切さを噛み締めた彼らが、ニュー・アルバム『spinach del sol』を完成させた。

「僕も小宮山(純平、ドラムス)も林(周作、ベース)もアンダーグラウンドと呼ばれるところの、エレクトロニカとかアンビエント、レゲエも好きやし、J-Popのフィールドでもすごい尊敬する方がいる。僕らが〈boosoul〉っていうジャンルを言い出したのは、自分らには自分らのオリジナルなサウンドがあるって信じてるから。フォークもヒップホップも自分らなりに消化して、〈最高〉って言うて出すんですけれど、ただ自己満足じゃいやなんです」。

 ルーツ・ミュージックをベースにしたしなやかさ、その本領発揮ともいえる“ケチャップ”、ループ感というバンドのアプリオリを大胆に進化させた“トーキングホーボー”。何色ものカラーを混ぜながらも、決して芯がぶれないのは「最終的に人間臭いっていうのはめっちゃ大事にしている」という思いがあるからだ。ラストに収録された“troppin' time”は、彼らが今年から隔月のワンマン・ライヴ企画として継続してきた〈boosoul 2006〉からの1コマ。ここにあるオーディエンスとの一体感こそが、cutman-boocheからリスナーへの何よりのギフトでもあるだろう。

「結局飽きずに一生続けるのが俺たちの音楽なのかなって。そのなかで多くの人に聴いてもらえたら嬉しいな」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年12月14日 23:00

ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)

文/駒井 憲嗣