SWANKY SWIPE
ストリートで絶大な支持と注目を集めるヤツらが、甘さゼロのアルバムでその全貌を現したぜ!!
日本のヒップホップ・シーンにおけるブライテスト・ホープが今夏にアルバムを発表したSCARSなら、そこに参加するラッパーのBESとEishinから成るSWANKY SWIPEは、〈遅れてきた実力派〉と言えるかもしれない。8年あまりの活動を経てリリースされる『Bunks Marmalade』は、彼らが日々〈どういうふうに暮らし、どういうことを思ってるか〉を聴かせるべく作り上げられたファースト・アルバムだ。漢(MSC)の参加といったトピックもあるが、フロウや声の深さと共にラッパーとしてのスタイルが認知されたBESが、本作を通じて改めて手に入れた表現にも注目したい。
「いままでは〈ここはわかってほしい〉ってとこもたぶんわかってもらえてなかった。自己満足っすよね、ホントに。だから、今回はそれをわかりやすくしたとこもある。〈ヘソ曲がりじゃん〉とか、〈天の邪鬼でしょ〉って言われたらそれまでなんですけど、べつに調べて拾ったもんじゃないし、自分がやってきて、周りで見たものしか歌ってない」(BES)。
手探りで始まった作業を経て、肩で風を切ることもない日々の暮らしや出来事、それらを消化した率直な思いなどをグループの音楽に落とし込んだSWANKY SWIPE。彼らにいまやっと光が当たる、そのことをメンバー自身がいちばん素直に喜んでいる。
「やっぱり自分たちのやってきたことは間違ってなかった。〈何言ってんのかわかんない〉とか、〈曲が暗すぎる〉とか言われたりしたけど、ヘタに流されずに、自分の好きな音楽を続けてきてよかったなと思います」(Eishin)。
甘ったるいマーマレードならぬ日本語ラップと一線を画す彼らが、さらなる深みへ向かうのか……まずはその動きが加速するのを待とう。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2006年12月21日 17:00
更新: 2006年12月21日 23:38
ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)
文/一ノ木 裕之