Slowly
DJならではの豊富な音楽的インプットを下地にした、普遍的なダンス・ミュージックが誕生!!
「スティーヴィー・ワンダーにチャールズ・ステップニー、そしてボブ・マーリー……。耳に残るメロディーを書く人が好きですね」(Masato Komatsu)。
2004年発表のコンピ『F.E.E.L.3』に収録された“Jazz In You”の制作で活動を本格化。今年に入ってからは、すでに国内外のクラブ・シーンで注目されている和製ジャズ・バンド、quasimodeのプロデュースでも話題を集めた、DJのKomatsuとプログラマーのShinya Abeから成るSlowly。そんな彼らのデビュー・アルバム『Universal Thing』には、Komatsuの豊富な音楽遍歴と、1年半という制作期間で培われたユニットとしての成長が凝縮されている。
「最初は僕がアイデアを出して、彼(Abe)がトラックの骨組みを作って、というふうに作業を分担していたんですが、最近はどちらも共同でやるようになりました」(Komatsu)。
「Komatsuさんからは作業的に面倒な注文もされますが(笑)、そうすることでより良い音になったりもして……。手ではなく、耳で作る音楽というのを再認識しましたね」(Abe)。
「いままで自分が聴いてきたブラック・ミュージックの好きな部分を反映させつつ、自分なりのフィルターをとおして曲を作りました」とKomatsuも語るように、アリソン・クロケットをヴォーカルに迎えたディープ・ハウス“Find Illusion”や、サー・ラーばりに16分で刻むビートもグルーヴィーなチャールズ・アーランド“Shining Bright”のカヴァー、さらに正統派ステッパー・チューン“Draw Dub”など、ハウスやブレイクビーツ、そしてレゲエといったフォーマットに、ジャズやソウルの要素を盛り込んだクロスオーヴァーの王道とも言えるサウンドが印象的な本作。だが、だからこそ品のあるメロディーやコード感といった彼ら独自のセンスが引き立ち、音楽性は雑多でアルバム全体は一貫したムードで包み込まれている。
「自分のなかではレゲエもジャズも大きな括りでのソウル・ミュージックに入るので、それが自分にとっての〈Universal Thing〉だと思って作ったつもりです」(Komatsu)。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2006年12月21日 17:00
更新: 2006年12月21日 23:35
ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)
文/牛島 絢也