こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

BLONDELLE


 青臭いガキの主張はストレートであればあるほど共感を呼び、いつの時代もリスナーの胸をときめかせてくれる。〈言ったことは何としてでも実現させる!〉――そんな猛然とした信念と青い色香、そして圧倒的な説得力を音に忍ばせたUK発のロックンロール・クレイジー、ブロンデルがファースト・アルバム『Blondelle』をリリースした。平均年齢19歳の彼らの音楽活動は、小学生の頃にスタートする。世界中でロック・バンドの低年齢化が話題になりはじめたのがここ1~2年のことであるから、なおさら彼らの発言は驚くべきものだった。

「サム(・スチュアート)と俺は11歳でギターを弾きはじめたんだ。ローリー(・オドンネル)も9歳でビートルズをカヴァーしてたんだけど、しばらく弾かないでいるうちに忘れちゃって、13歳の時にベースを覚えた。マイク(・ディーガン)は7歳の時からずっとドラムを叩いてるよ。昔、ローリーとサムと俺はリトル・ジョーっていう奴とバンドを組んでて、俺たちが13歳の時にそいつは抜けちゃったんだけど、そのバンドがブロンデルの母体になったんだ。その後、15歳でEP盤『Dumkope』を作ったんだよ。そうだな、現在のUKシーンが存在する前から活動していたわけだから、まあ先駆けって呼んでくれてもいい」(ウィル・キャメロン:以下同)。

 彼らの演奏スタイルは、今も昔も変わることなく人々の熱狂を喚起させてきたエッジーなロックンロールだ。70年代パンクのヒリヒリとした初期衝動、ガレージ・ロックの匂い立つ色気、オーストラリアのバンドに見られるヘヴィーで豪快なリフ主体のロックまでもが集約されていて、それらをひたすらに叩きつけることでウソ偽りのない音を生んでいる。

「演奏するとそうなってしまうってだけなんだ。同年代の他のバンドと比較すると俺たちはややヘヴィーだよね。でもへヴィーなほうが気持ち良く感じることもあるだろ? 曲を書いている時はいつも自分たちの新しいところを発見するんだ。ライヴをやる時に意識することは、エネルギーのすべてを注ぎ込むこと。頭がおかしくなるまでね!」。

 彼らのサウンドを構成する要素には、90年代ブリット・ポップ~オルタナの匂いを漂わせたメロディーが挙げられるが、実際に影響を受けたバンドを訊いてみると、やはり期待どおりの答えが返ってきた。

「好きなバンドはスマッシング・パンプキンズ、ブラー、レディオヘッド、ニルヴァーナ。あとは、何と言ってもオアシス! 『(What's The Story)Morning Glory』は最高だ。あのCDをプレゼントしてくれた姉さんを、俺は一生愛し続けるよ!」。

 これらの要素は、2000年代後半のロック・シーンを語るうえで極めて重要なものになるはずだ。今後ブリット・ポップや90年代中期のロック再評価が予想されるが、その動きに先鞭を付けるかもしれない重要な存在として彼らのことを覚えておいてもらいたい。さらに、ブロンデルが熱狂的なファンを獲得している理由がもうひとつある。もうおわかりかと思うが、それは彼らの端正なルックスだ。NYの〈今〉を切り取る最先端のファッション誌「V Magazine」で、彼らはあのディオール・オムのデザイナーであるエディ・スリマンをカメラマンにモデルとして登場! ファッション業界に衝撃が走った。

「音楽はモデルをやる前からやっていたからね。モデルは素晴らしい経験だけど、僕自身はそれについて語ることはないよ」とは言うものの、今後も彼らの一挙手一投足すべてが話題になることは間違いなさそうだ。現在もっとも勢いのあるブロンデルをチェックせずに、2007年のUKシーンを語ることはできないだろう。そんなわけで、吼えるような10代の主義主張をしっかりと耳に焼きつけてくれ!

PROFILE

ブロンデル
ウィル・キャメロン(ヴォーカル/ギター)、サム・スチュアート(ギター)、ローリー・オドンネル(ベース)、マイク・ディーガン(ドラムス)から成る平均年齢19歳の4人組。2000年頃、地元ノース・ロンドンで母体となるバンドを結成。2003年には自主制作でEP盤『Dumkope』をリリース。その後も精力的なライヴ活動を展開し、2006年に入ってNME主催のイヴェント〈Club NME〉のヘッドライナーに抜擢されたほか、オーケー・ゴーやプリンス・バスターなどとも共演を果たす。11月に発表された2枚目のEP盤『Started You We'er Young』が大きな話題を呼ぶなか、このたびファースト・アルバム『Blondelle』(16 Tons/コロムビア)が日本先行でリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年01月18日 15:00

更新: 2007年01月25日 20:21

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/冨田 明宏