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インタビュー

Clipse

待たせたな!! ネプチューンズ・サウンドを真に体現する、クリプス渾身の一撃を食らえ!!


  ネプチューンズ、特にファレルはいまやセレブな雰囲気を漂わせたアイドル・スターに成り上がり、そのサウンドもある種の洗練性を身に付けるようになった。ただ、少なくともクリプスと組む時だけは、変態的で粘着質な濃い口のネプチューンズ・ビートが全開になる。そのようにネプの2人をもっともズルムケにさせるクリプスは、ネプがまだ無名の90年代から活動を共にし、2002年にファースト・アルバム『Lord Willin'』をヒットさせているマリスとプッシャーTの兄弟デュオだ。このたび登場した4年ぶりのセカンド・アルバム『Hell Hath No Fury』からも超パーカッシヴな先行シングル“Mr. Me Too”がすでに話題となっているが、同曲にはレーベルの問題で活動が停滞した4年間の思いが込められているという。

「TVで他のラッパーのプロモ・クリップを観ててさ、〈Me Too、Me Too!〉って羨ましく思ってたんだよ。ムーヴメントに参加できないのが悔しかった。そんな気持ちから出来た曲なんだ。あれはファレルがP・ディディのアルバム用に作ったビートで、俺たちがリリックを書いてたんだけど、これはクリプスのシングルにしたいって言ったんだ」(マリス)。

 アルバムには他にもスリム・サグと合体したスカスカのファンク“Wamp Wamp(What It Do)”などプログレッシヴなトラックがひしめき、主役の2人はストリート・スマートな語りをクールに吐き出しまくる。彼らとネプの組み合わせはやはり特別なのだ。

「今回のアルバムに限ったことじゃないけど、音楽制作において、俺たちは常にリスクを冒してるんだ。他の奴らが使わないようなビートで、他の奴らがやってないことをやる。それは今回も変わらないことだね」(マリス)。

 同時に今回のアルバムは、彼らが新たに立ち上げたリアップ・ギャングなるクルーをレペゼンするものでもある。現在はAB・リヴァとサンドマンの2人がリリースを控えているようだ。

「自分たちのアーティストを育てて世に出すことによって、本物のヒップホップを蘇らせたいんだ」(プッシャーT)。

「成功ってのは、セールスや自分のレーベルを持つことじゃなく、どれだけ良い音楽を作れるかってことで測れるだろ? 俺たちはデビューした頃から良い音楽を作ることだけ考えてた。いまも変わっちゃいないぜ」(マリス)。 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年01月18日 15:00

更新: 2007年01月18日 19:55

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/轟 ひろみ