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インタビュー

Deerhoof

いつにも増してキュートでサイケでアヴァンな新作を届けてくれた彼らに直撃!


  ディアフーフは、突然空から降ってきた隕石みたいだ。調査委員に選ばれたトム・ヨークやウェイン・コインは声を上げて絶賛する、〈なんて神秘的な石(ロック)なんだ!〉と。そこで隕石がパカッと割れて、メンバーが登場。彼らから地球のファンへの手みやげが、ニュー・アルバム『Friend Opportunity』

──てな感じで、素晴らしい作品を完成させてしまったUS西海岸の名物バンド、ディアフーフ。ヴォーカルのサトミ・マツザキは振り返る。

 「とりあえずベーシックだけ作って、あとはメンバーがそれぞれ好きにエディットしていったんです。例えば勝手にギター・パートを加えたり、逆に消したり。そうやって全員のアイデアを詰め込みながら、気付いたら出来上がっていた」。

 ディアフーフの魅力は、そうしたエディットから生まれる予想のつかない展開と、それを肉体化して暴走するバンド・アンサンブルだ。そこにはゴミ箱の底が宇宙に繋がっているようなシュールなスリルがある。

「反復が嫌いなんです。すぐ飽きちゃって、5分あった曲も気付いたら2分に圧縮されてたり(笑)」(サトミ)。

「よくディアフーフの音はADD(注意欠陥障害)みたいだって言われるよ(笑)。でも僕たちはサウンドをしっかりコントロールしている。いつでも宇宙からゴミ箱に戻れるようにね」(グレッグ・ソニア、ドラムス)。

 それほど激しい演奏なのにそれをポップに感じさせるのは、サン・ラーを口ずさむ少女のようなサトミの不思議な歌声があるからこそ。そのコントラストも彼らの大きな魅力だ。さらに今回は「眠りながら作曲する」というグレッグが、「夢の中から拾ってきた」メロディー・パートも充実。過激さとポップさのバランスは過去最強だ。

「対照的なモノのコントラストがテンションの源というか。楽しさと悲しさの間に針があって、それがどっちかに振り切っていればエキサイティングなんですよ。だから、後ろに腰を下ろせるものがないほうがキリッとしていられる」(サトミ)。

 トムやウェインが彼らをツアーに誘い、絶賛する理由は、その〈キリッ〉とした佇まいで繰り広げられる無邪気な音の楽しさだ。そんなわけで、今回もとことんディアフーフです!
▼ディアフーフの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年02月08日 18:00

更新: 2007年02月08日 20:36

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/村尾 泰郎