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インタビュー

倉橋ヨエコ

〈色々〉なサウンドと生々しい詞世界をポップに聴かせる、心機一転のニュー・アルバムが到着!!


  恋愛女の情念や妄想を全開にした楽曲と、エキセントリックかつ昭和歌謡的な空気を放つヴォーカリゼーションを基調にしたシンガー・ソングライター、倉橋ヨエコからニュー・アルバム『色々』が届けられた。関西を中心に活動するインスト・ジャズ・ユニットのIndigo jam unitから、柴咲コウ、荘野ジュリ、JiLL-Decoy Assocationの作品を手掛けたことで知られる中村仁などが参加した本作は、ジャズ、ロック、ギター・ポップから80'sニューウェイヴまでを取り込み、一気に彩りを増したサウンドがまず印象に残る。

「前作の『ただいま』を作り終えたとき、〈これが遺作になってもイイ〉って思えるくらい満足して。だから今回は〈第2の人生の始まり〉というか、まったく新しいことをやろうと思ったんですよね。いままでは歌詞を伝えることがすべてで、ピアノと歌以外のことは全然考えてなかったんですけど、このアルバムで初めて、サウンドのイメージを先に決めてから曲を作ったりもしました。例えば〈自分がロック・バンドのヴォーカルだったら……〉とか。メロディーやアレンジに興味を持ってもらうことで、(リスナーにとっての)間口を広くできたらなって」。

  そして〈あなたを食べてもいいですか/愛しているからいいでしょう〉(“いただきます”)、〈雪よ/哀れな私を 嘲笑う為に降るの〉(“白の世界”)など、よりカラフルになった音像のなかで、さらに生々しく伝わってくる彼女の歌の世界。言うまでもなく、それこそが本作の最大の魅力なのだと思う。

「被害妄想だったりストーカーチックだったり、そういうところは全然変わってないですからね、幼稚園くらいから。イイ曲が生まれるとすごくシアワセを感じるんですけど、そのシアワセを味わいたいがために、普段はあえて自分が不幸になるように持っていったりするので。曲を褒めていただいたりすると、そのときは嬉しいんです。でも、次の瞬間には怖くなっちゃうんですよ。〈イイことがあった後は、必ず悪いことが起きる〉みたいに。そういう性格も直らないでしょうね、きっと」。
▼倉橋ヨエコの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月01日 18:00

更新: 2007年03月01日 19:55

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/森 朋之