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インタビュー

PASTIME

長い充電期間を経てポップに進化した新作は、涙腺を刺激するグッド・メロディーの大雨だ!!


  突出したポップネスを内包した楽曲で、将来を嘱望されていたPASTIME。けれど2003年、ギタリストの脱退を契機に彼らは忽然と姿を消してしまった。

「正直、最初は不安がありました。でも、3人になってからも週末には集まって、曲作りやレコーディングをしてたんです。しがらみのないなかで音楽をやれるのが楽しくて、いつの間にか焦りはなくなりましたね」(鈴木大悟、ヴォーカル/ギター)。

 メロディック・パンク全盛だった当時のインディー・シーン。その動静を見据える機会を得た彼らは、新ベーシスト=関愛の加入後も、マイペースな姿勢を崩さず創作活動を続ける。こうして完成した新作が『Swinging In The Rain』だ。ウィーザー~レンタルズ級の泣きメロを擁する痛快パワー・ポップ、ファスト&ラウドなエモ系ナンバーなど、本作には冒頭からラストまでキラーな楽曲が満載。その間口の広さは、サビに思わず涙するこの曲に端を発している。

「“ニューウェイヴ”は、言っちゃえば、むちゃくちゃポップ。初めは演ること自体、勇気が要りましたね。でもそれが良しとなったから〈何でもアリ〉じゃないですけど、振り幅が広がったっていうのはあります」(鈴木)。

 そして彼らの楽曲は、鈴木いわく「(ギターが)ライト・ハンドでブリブリいってる」というメタリックな“E.N.E.”や打ち込みを導入した“虹色アンブレラ”など、どんどん自由度を増していった。

「この曲は雨がテーマ。切なさの象徴だったりします」(鈴木)。

「明るい曲をやろうとしても、どこかに湿り気が出てきちゃうんですよね。前はそこをごまかし気味だったのが、今回、やっと素直に聴かせるようになった感じです」(中島友太、ドラムス)。

 本作で改めてロック・シーンの表舞台に浮上するであろう彼らには、ひとかけらの気負いも感じられない。そんなところが、頼もしくてたまらないのだ。

「唯一無二か、って言ったらそんなサウンドでもないし、奇を衒ってるわけでもない。かと言って、どこにでもいる存在でもない。どこにも属せないようなフワフワした存在、みたいなのを狙ってます。隙間産業みたいだけど(笑)」(鈴木)。
▼PASTIMEの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月01日 18:00

更新: 2007年03月01日 19:56

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/土田 真弓