渋さ知らズ
止まるところを知らない大所帯が、活動18年目にして新たなスタンダードとなる快作を打ち立てたぞ!!
なんとavexからリリースするくらいにオーヴァーグラウンドへとノシ上がってきた渋さ知らズ。彼らのニュー・アルバム『渋響』は、チャールズ・ミンガスの激情とマイルス・デイヴィスのファンクネスを掛け合わせたような超ド級グルーヴ・ナンバー“Fight on the corner”で始まる。いままでの音塊に比べて変化を覚えつつ、熱く汗ばむコブシを握ってしまうはずだ。猥雑さと哀愁の入り混じったさまざまな大衆芸能とフリージャズをミックスし、そこからエネルギーを生み出して祝祭的グルーヴへと昇華させるという、彼らの核となるサウンドはもちろん継続されている。ダンドリストの不破大輔に〈今作は事前に完成予想図があったのか〉と問うと、「ないです! ほとんど現場で作り上げた」とのこと。とはいえ、だからこそ意表を突く展開も生まれている。ライヴでも人気の“P-Chan”に、ここ最近ひときわ輝いている豪腕ピアニストのスガダイローが厳かなピアノを主体としたリアレンジを施しているのだ。
「スタジオでセッティングしているときに、彼があの曲をピアノで弾いていて、〈いただき!〉って。ちなみに渋さには時々バカが来るんですけど、彼が初めて来たとき、素晴らしいバカを発見したなって(笑)。彼は渋さでも1、2を争う〈乱暴者な音〉を聴かせてくれますね」。
そして今作において特筆すべきは、そのサウンドだ。これは結成18年目にしての新たな成果とも言えそう。
「これまではほぼライヴ録音というか、ガーッと奔放に鳴っている音を圧縮して盤にしてきた。今回はいろんな音が鳴っているのを最後まで聴ける作りですね。ほとんどの曲はドラムス、ベース、ギターも1人ずつ、あとは7~8人くらいで録って、音を足していった。ライヴでは、お客さんには音の塊みたいに聴こえてるかもしれないけど、ステージの上だとけっこう繊細に音が鳴っていて。あの中で聴こえているような音を(今作では)聴いていただけるんじゃないかな」。
そんな『渋響』は、これからの渋さのキャリアにおいても重要な一枚になっていきそうだ。
「今作は〈基礎〉。僕らのスタンダードになってくる盤ですね。曲じゃなくて、在り方が。まぁ、そういうのもまたすぐ変わってくるとは思うんですけど(笑)」。
新曲も加えたベスト盤『渋全』を経て、彼らの単独公演史上最高の動員を記録したという昨年の渋谷O-EAST公演を収録したライヴDVD「渋旅初め」もリリースされたばかり。18年かけて作った基礎から、渋さ知らズの爆走が始まる。
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