インタビュー

THE PACK

ボード・カルチャーをレペゼンするベイエリアの4人組が、シーンにフレッシュな風を吹き込む!!


 〈ナイキなんか買うのやめとけって! こいつは履いたり脱いだりするのも簡単だし、安いからいろんなカラーを揃えられるんだぜ!〉と、スケーターご用達の老舗シューブランドの魅力をとくとくと説いたその名も“Vans”が、「Rolling Stone」誌の選ぶ〈2006年の100曲〉で堂々5位にランクイン。ハイフィー・ムーヴメントで沸き立つUS西海岸ベイエリアはバークリー出身のヒップホップ・クァルテット、パックがファースト・ミニ・アルバム『Skateboards 2 Scrapers』をリリースした。

「俺たちは新しいタイプのアーティストがラップ・ゲームに入っていくためのドアを開けることができたと思う。昔はスケーターがラッパーになる可能性なんてないって思われてたからね。スケートをやってるのは白人がほとんどで、黒人はあんまりやってなかったしさ」。

 このたび取材に応じてくれた19歳のヤング・Lを最年長に、メンバー全員がティーンで構成されたパックは、同郷のレジェンド=トゥー・ショートに見い出されて2005年に彼の主宰するアップ・オール・ナイトと契約。ウルフパック名義での2枚のストリート・アルバムを経て今回のメジャー・デビューに漕ぎ着けている。

「このミニ・アルバムでは俺たちがいかに多様な面を持ってるかを示したかった。パンク・ロック系のスケーターたち、フッドでパーティーしてるような奴ら……俺たちはいろんなタイプのリスナーと共感できるんだ」。

 ファレルやルーペ・フィアスコらとも呼応するスケーター・カルチャーに根差したラップ・アクトとして、そして活況著しいハイフィー・ムーヴメントの若き担い手として。チープでユーモラスなエレクトロ・ビーツに乗せてヒップホップの〈Fun〉を余すところなく伝えるパックは、きっとシーンに新風を吹き込んでくれるはずだ。

「ヒップホップには怒りをベースにしたものもたくさんあるけど、俺たちはあくまで楽しい音楽を作りたいね。あと、俺たちの登場はシーンに若さも持ち込めるんじゃないかと思ってる。いまのラップ・ゲームにいるアーティストは30歳以上の人が多いからさ。パックは新世代のヒップホップ・アーティストなんだ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月15日 19:00

更新: 2007年03月15日 20:37

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/高橋 芳朗