インタビュー

Taiji All Stars

8人の〈イイ女〉を巧みにエスコートする佐藤タイジの新プロジェクトが、カラフルな魅力満点のファースト・アルバムをリリースしたぞ!!


  ファンキーなサウンドを練り込んだオーセンティックなロックを聴かせるバンド、THEATRE BROOKの主謀者である佐藤タイジ。近年はジャム系4つ打ちバンド、Sun Pauloにて精力的な活動を行っている彼が新たにスタートした第3のユニットが、このTaiji All Starsだ。このたびリリースされたファースト・アルバム『FEMME FATALE』は、〈イイ女が歌う歌を最高の曲に仕上げるフィーチャリング・プロジェクト〉というコンセプトのとおり、8人の女性ヴォーカリストを迎えて制作された。SAKURA、bird、UA、松雪泰子、hitomi、LO-RI FINE(COLDFEET)、Leyona、そしてMAI(Magnolia)と、まったく異なる個性が幕の内弁当的に詰め込まれているのだ。そもそも、さまざまな活動で〈オレ節〉を発揮してきた彼が、どうしてこのようにコンセプチュアルなユニットをスタートさせたのだろうか。

「いろいろなアーティストのプロデュースをする機会が増えてきて、〈オレが歌わない、佐藤タイジの楽曲を1枚にまとめたアルバムを作ってみたら?〉ってスタッフに言われたのがTaiji All Starsの始まりですね。女性ヴォーカルのコンピで、作曲者がオレっていう感じだとおもしろいな、と思って。最初は〈ロック・ミュージシャンと女たち〉みたいな、ベッタベタなイメージで進めようとしてたんだけど(笑)」。

 前述のゲストの多方向っぷりは、各楽曲のスタイルの違いとして明確に表れている。結果、メロウなソウル、アーシーなロック、アッパーなトランス、骨太なファンク・ロックなどが入った、とんでもなくカラフルなアルバムに仕上がった。

「参加してくれたシンガーのテイストとズレないように曲を作って演奏したから、そりゃあヴァラエティーに富むよね(笑)。1曲ごとに丁寧に合わせたから、最後ぐらいは(自分が)思いっ切り歌っても許してもらえるだろうと。オレが死んだ後、〈フジロック〉のグリーン・ステージで葬式して、みんなに演奏してもらう、っていうバカっぽいイメージなんだけど(笑)」。

 と言うように、ラストは〈オレっぷり〉全開の壮大なロック・チューン“オレの葬式”で締め括られる。コンセプト先行のプロジェクト作品ではある。が、それは多彩な色を持つ、佐藤タイジという人間の本質が反映されていることの証左となり得るのではないだろうか。

「自分の作品にオレ自身のリアリティーが入っていないと嫌なんです。最近はそんなのあんまりないでしょ?」。

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掲載: 2007年03月22日 12:00

更新: 2007年03月22日 21:00

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/ヤング係長