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インタビュー

No Regret Life


 2001年の結成以来ライヴの本数を増やし続け、いまでは年間100本前後のステージをこなしつつ、新たな楽曲を生み出している3ピース・バンドのNo Regret Life。だが、「No Reget Lifeはライヴ・バンドだ」と言うと、本人たちは「でも、〈ライヴ・バンドじゃないバンド〉っているんすか?」と素の表情で返してくる。日本全国を飛び回り、ほとんど自宅にいなかったという2006年の彼ら。生半可な気持ちでは成し得ない怒涛の日々のなかで作り上げたニュー・アルバム『Allegro』がついに到着した。

「去年はライヴをやっていくなかで曲が成長するスピードもどんどん速くなっていったし、メンバー個人のプレイヤーとしての瞬発力も上がってた。それが今作に反映されてるんです」(小田和奏)。

「メンバーだけじゃなくて、周りのスタッフも俺らと純粋に音楽で繋がってくれてて。凄く良いテンションでやれました」(松村元太)。

 ツアーに出てフェスに出演しながら曲を書き上げ、そのつど少しずつレコーディングされていった今作に、ライヴのダイナミズムやロックのタフネスが宿らないわけはない。しかし彼らの魅力はそれだけではない。〈目の前にいる君〉へとストレートなメッセージが運ばれていく時の、メロディーの美しさやハーモニーの移ろいが非常に繊細なのである。特に半音階を滑らかになぞるようなAメロの巧妙さは、小田が幼い頃からピアノを習っていたことにも関係しているのだろう……なんて言うと、小田に「でも、Bメロも大サビも気合い入れて作ってますよ!」なんて言われてしまうのだが。

「基本は鼻歌ですけどね。それがもっと気持ち良く、もっとしっかりとした足跡をつけられるようにメロディーを緻密に作っていって。そこは今回こだわりました」(小田)。

〈さあ、はじめよう〉という力強い歌声が鳴り響く1曲目の“ファンファーレ”から、エモーショナルなラストの“アンダンテ”に至るまで、熱気ムンムンのサウンドと共に、こだわりのメロディーたちが聴く者の心を掴んで離さない全12曲。コーラスの掛け合いも楽しい陽気なロックンロール・ナンバーの“ランドリー”や、近しい距離で歌ってくれているような生々しさで届けられるアコースティック・ナンバー“君待ち”なども今作ならでは。

「ずっとツアーに出ているとなかなか洗濯ができなくて、東京に戻ってきた時に近くのコインランドリーで書き上げたのが“ランドリー”。この曲は真剣にふざけましたね(笑)。マフスみたいに、メロディーは泣ける感じなんだけどポップにパンキッシュにやってみようかな、っていうのがきっかけでした」(小田)。

 ちなみに“君待ち”に関しては、小田がレコーディング当日の朝、お風呂に入っている間に生まれた曲で、スタジオまでの移動中に歌詞も書き上げてしまったとのことだが、そんなエピソードにもいまの彼らの絶好調ぶりが窺える。ステージの上から見えた想いも、いろんな人との出会いや音楽への感謝の気持ちも、すべてを詰め込んで完成した『Allegro』。この音楽はきっと多くの人の心と生活を、頼もしく駆け抜けていくだろう。そしてまたいくつものステージでここからのナンバーが鳴らされる時こそ、彼らのさらなる飛躍の瞬間なのだ。

「いまの自分たちの熱気をパッケージできたので、これがどこかのお店や誰かの家で鳴らされるのを想像すると、ホントにワクワクします」(橋口竜太)。

「音楽ってやっぱり即効性と中毒性のあるものだと思うんだけど、今回のアルバムでは、そのどちらも含まれたものが作れたんじゃないかな。それに、ここから俺らがシーンの中でどんなポジションでやっていくのか、っていうことに関しても凄く重要な作品。3人の個性がしっかり出せたという意味でも、これからの土台になっていくアルバムが出来ました」(小田)。

PROFILE

No Regret Life
小田和奏(ヴォーカル/ギター)、松村元太(ベース)、橋口竜太(ドラムス)から成る3人組。2001年1月、鹿児島にて小田と橋口を中心にバンドを結成、11月に松村が加入して現在の編成となる。2002年11月にはインディーよりファースト・アルバム『Tomorrow Is The Another Day』を発表。2004年4月にはミニ・アルバム『My Life, My Song, My Mind』をリリースし、7月に活動の拠点を東京に移す。2005年2月にはシングル“メロディー”でメジャー・デビューを果たし、2枚のシングルを挿んで2006年2月にはアルバム『Sign』を発表。その後100本を超えるライヴを敢行し、今年2月のシングル“Day by Day”を経てニュー・アルバム『Allegro』(Yeah! Yeah! Yeah!)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月29日 19:00

ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)

文/上野 三樹