Pecombo
東京発→ブラジル経由で世界中の音と邂逅したコーラス集団の新作がスゴいことになってるよ!!
「たまたま聴いたクァルテート・エン・シーのレコードにノックアウトされました。〈なんて美しい音楽なんだろう!〉って」(Peco)。
60年代から現在まで活動を続けているブラジル屈指のコーラス・グループとの出会いを契機に結成されたPecombo。軽妙洒脱なスキャットを武器に昨年発表した『tempo feliz』では、ラウンジーなオケをバックに洗練された音世界を披露した彼らだが、ニュー・アルバム『Serendipity』は一味違う。まず驚かされるのは、古今東西の音楽をゴッタ煮にしたサウンド面の進化だ。
「もともとはブラジル音楽をベースにした和音やリズムが中心でしたが、今回はそういう枠を一度取り払ってみようかと」(Hacchan')。
ビッグバンド・アレンジを施したスティーヴィー・ワンダーのカヴァー“Love's in need of love today”や、テイ・トウワとのコラボでも知られるTOSHI-YUKI YASUDAによるブリブリのバイリ・ファンキに清廉な歌声が渡り合う“Burro Tipico”、サカキマンゴーが奏でる幽玄なリンバの音色に絡むスキャットもトライバルな “chilumi”、Ginger does'em allが手掛けたクールなトラックに日本語詞が乗った “十六夜 -IZAYOI-”、さらにクンビア風味の前半から、ファットなビートと陽気なスパニッシュMCが唐突に挿入される展開も愉快なジョアン・ジルベルト“O Pato”のカヴァーまで……。これだけ雑多なトラックが並んでも全体の耳触りが軽やかなのは、やはり彼らの歌声が奏功しているからであろう。
「〈どんなオケでも僕らの声があればPecomboの曲〉という思いがあって。ボッサとかラウンジとか言わずに好きにやってみようと。前作よりも自分たちでコントロールできない部分が多かったけど(笑)、それを楽しんでいたら結果的に音のレンジが広がりました」(Hacchan')。
「今回はステキな偶然や出会いが重なって出来たアルバムだから、〈幸せな偶然を引き寄せる能力〉っていう意味の単語をタイトルに選びました」(Rie)。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。