インタビュー

トミーザグレイト

ロックとディスコが熱烈合体! アフター・アワーズを彩る〈踊ロック〉サウンドを身体中に浴びてくれ!!


〈フィッシュマンズmeetsゆらゆら帝国〉と評された前作『DANCE WITH ME.... a man said』から3年半。4人組バンド、トミーザグレイトがディスコ・ビートを携えて帰ってきた。フルートの石橋英子(PANIC SMILE)、トランペットの浜田光風(COOL WISE MEN)といったゲストを招いて放ったセカンド・アルバム『アフターパーティアットダンスフロア』で彼らに何が起きたのか。

「2年半くらい前に見た〈マエストロ〉っていうガラージのドキュメンタリー映画と〈スクラッチ〉っていうDJのドキュメンタリー映画が大きかったですね。メンバーに〈こういう曲がやりたいんだけど……〉って伝えて、〈何言ってんだろう?〉っていうところからスタジオに何回も入って作っていきました」(OOOno、ヴォーカル)。

 彼らは「現行のクラブ・カルチャーから受けた影響はほとんどない」と口を揃えるが、OOOnoの脳内に植え付けられた種はサイケデリックなジャングルへと成長。他のメンバーが地図も持たずに分け入ると、その先で出会ったのはガレージ・ロックとガラージ・ハウスのミッシング・リンクを埋めるかのような音楽だった。その道程は相当に険しかったようだが、諦めずにトライ&エラーを繰り返した裏には、OOOnoの音楽的な才能に対するメンバーの絶大な信頼があった。

「OOOnoくんはローラースケートを履いてライヴをやったり、リハだけぬいぐるみを着たり、予測不可能ですね」(Meguro、ギター)。

「何年やってもこなれないところが魅力ですね(笑)」(Utashiro、ドラムス)。

「もろもろ含めて〈天才だな〉って思う瞬間がありますね。ただ、いつもそう思ってるわけじゃなく、時々ね(笑)」(Yanagisawa、ベース)。

 1曲目の「60%GARAGE30%NONEWYORK10%TROJAN」が示唆するように、パンク/ニューウェイヴやディスコ、ダブにヒップホップと、エッジのある音楽要素が渾然一体化。そこから生まれる圧倒的なエネルギーがダウナーな日常を盛り上げていく。それはほんの一瞬のことかもしれないが、そのはかなさと表裏一体の胸を締め付ける感情が、このアルバムを特別なものにしている。

「DJが回してる最後の曲がイイ曲だったりして、〈この曲、ずっと終わってほしくない〉って思いつつ、必ず終わりがあるじゃないですか。そういう切ない瞬間が好きですね」(OOOno)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年04月19日 00:00

更新: 2007年04月19日 17:18

ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)

文/小野田 雄