インタビュー

nature living

国境を越えて活躍するバンドが、〈エモ〉の枠も飛び越えた! 真に〈エモーショナル〉な問題作を聴け!!


  〈エモ〉というカテゴリーに留まらぬ存在感とポテンシャルを持つnature livingが、ミニ・アルバム『Sign of bright』をリリースした。昨年のファースト・フル・アルバム『Thereof』の発表後にギタリストの交代があり、現メンバーでは初の音源。ミニ・アルバムと言えどもフル・アルバムのようにカッチリとした世界観が構築されている。インストの1曲目から、ハードコアな楽曲あり、ポップスと聴き紛うような優しい楽曲あり。どんどん幅広く、壮大になっているnature livingの世界が提示されているのだ。

 「ここまでやっちゃうと、〈nature livingらしくない〉と言われても怖くはないし」(清水誓一郎、ヴォーカル:以下同)。

 その極みが、シンガロング必至なフレーズの導入である。ライヴにおける、個々が暴発し、フロアを圧倒するパフォーマンスを思い出すと意外なのだが――。

 「ライヴでもっとみんなに近寄りたいと思って作りました。実は近寄りたいんです(笑)」。

 こうして衒いなく世界が広がった根本には、彼らのジャンルへのこだわりのなさがある。彼らはいわゆるエモの黎明期から活動してきたバンドであるが、それに対してこう話してくれた。

 「精神的なものがあれば、どこに行っても良いと思います。自分たちだけじゃなく、エモって言われてるバンドってよくわかっていないと思うんです。みんなエモーショナルじゃん、みたいな。しっかりとした定義付けがないジャンルだと思うので」。

 また彼らは、海外にも自然に視線を広げている。作品で言えば、音質ひとつとっても、海外のバンドに通じるストロングさを感じさせられるのだ。ライヴに関しても、今作のリリース・ツアーはフィリピンやシンガポールのバンドと共に日本の内外を回る予定である。

 「この作品は韓国でもリリースされるので。最近〈MySpace〉などをとおして、海外でも僕らを知ってくれている人も多くて。アジアでUSに立ち向かいたいと言うか、〈肩並べてんだぜ!〉って言っていきたい」。

 みずからレーベル=theory&practiceの運営もこなしながら、トータルで音楽を盛り上げている彼ら。そのタフになり続けている精神力が、楽曲をもタフにしているのだ。その威力に震えてほしい。

▼nature livingが主宰するtheory&practiceの作品を紹介。

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掲載: 2007年05月31日 14:00

更新: 2007年05月31日 17:38

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/高橋 美穂