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インタビュー

Curly Giraffe

ポップスの桃源郷を作り上げた謎の新人。その素性がこの2作目であきらかに!


 昨年リリースしたファースト・アルバム『Curly Giraffe』が、ネットなどの口コミによりロング・セールスを記録。そのリラクシンでメロディアスなアコースティック・サウンドが、静かなる熱狂を呼んでいるCurly Giraffe。滑らかな英語で歌われる音楽ゆえ、洋楽アーティストだと思っていた人も多いそうだが、実はGREAT3、HONESTYなどで活躍する高桑圭のソロ・ユニットだったのだ。

「これまで自分の素性を明かさなかったのは、純粋に音楽を聴いて好きか嫌いかの判断をしてもらいたかったから。結果、多くのリスナーから反響をいただけて。ミュージシャン冥利に尽きますよね(笑)」。

 完成したばかりのセカンド・アルバム『Ta-dah』もまた、前作同様の心地良いグルーヴが横溢する内容となった。

「基本的には前作とテーマは何も変わっていないんですよ。自分が聴いて楽しい音楽を作るということだけでして」。

 マスタリング以外は自宅にてすべて1人で制作し、とことん自分の好きな音楽を追求したという本作。聴いていてもっとも心地良さのツボを突くのがメロディー展開だ。そこからは70~80年代のAORに通じる、流麗さと爽快さを感じることができる。

「別に意識はしてないんですよね。幼い頃からAORと呼ばれるアーティストの作品を聴いているから、自然とそういう部分が出るのでしょうか」。

 しかし、そのメロディーには別のこだわりがあるという。

「日本の音楽って、起承転結を付けたがるじゃないですか。フランス料理に例えるなら、前菜からフルコースでいただきます、みたいな(笑)。でも僕は、フルコースを食べるよりは、自分の食べたいものだけをずっと食べ続けたいタイプなんですよね。つまり気に入ったフレーズを、ずっと繰り返していたほうが好きというか。だから人によって、このメロディー展開は退屈に聴こえるかもしれないけど、自分はおいしいところばかりをつまんでいる気分でして。それを気に入ってもらえたらいいですね」。

 彼がこだわり抜いて調理した〈おいしい〉サウンド。休日の午後にビール片手に聴いたら、幸福を噛み締められるいい〈おつまみ〉になるんだろうなぁ。また、ぜひ海や夏フェスとかで生で聴いてみたいっス。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年06月21日 13:00

更新: 2007年06月21日 17:44

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/松永 尚久