インタビュー

The Go! Team


 性別も人種も国籍も問わないバンド形態で、ひたすらに身体を動かして騒ぐためのパーティー・ミュージックを作り続けるゴー!チームが、セカンド・アルバム『Proof Of Youth』を携えて3年ぶりに帰還! 60年代のフィル・スペクター・サウンドを思わせるポップ・ミュージックや、オールド・スクール・ヒップホップ、そしてオルタナ世代らしいアグレッシヴなギター・サウンドが一塊となって押し寄せる怒涛のグルーヴ感は、2004年作『Thunder, Lightning, Strike』以上だ! ビリー軍曹の鬼しごきには2日目で退役を覚悟した筆者も、本作を手にしてからというもの毎日楽しく脂肪を燃焼させています!

「いやいやホントに、ヴォリュームをガンガン上げて飛び跳ねながら聴いてもらいたいんだ。パーティーのように盛り上がってくれたら最高だね! キミの言うとおり、僕たちの音楽はグランドマスター・フラッシュのような80年代のヒップホップとか、シャングリラズのような女性コーラス・グループ、そしてソニック・ユースなどから影響を受けていて、英国的な音楽よりもNYの音楽シーンなどから強いインスパイアを得ているんだよ」(イアン・パートン:以下同)。

 もともとはイアンのソロ・プロジェクトだったゴー!チーム。実は現在もほとんどの楽曲を彼一人で手掛けているという。

「僕の出身地、ブライトンで作曲とレコーディングを始めたのは6年ほど前のこと。スウェーデンのフェスから出演のオファーがあって、その時にバンドを作ろうと思ったんだ。とにかく知り合いに声を掛けまくったよ」。

 こうして集ったメンバーは、ナイジェリア人とエジプト人のハーフであるニンジャ、日本出身のカイ・フカミ・テイラーなどバックグラウンドの異なる個性派たち。さらに一昨年にはカオリ・ツチダ(その名のとおり日本人女性)も加入し、ようやく6人編成によるバンドの陣容が整った。

「ゴー!チームにとっては〈女性ヴォーカルであること〉が唯一の厳格なポリシーで、国籍よりも素晴らしい女性ヴォーカルであることのほうが重要なんだ。新作だってゲスト参加したパブリック・エナミーのチャックD以外は、ボンジ・ド・ホレのマリナも含めてみんな女性ヴォーカルでしょ!? 他にも、ラッパーズ・ディライト・クラブという小学生のラップ・クルーも参加しているよ」。

 これまで以上にエンターテイメント性が増した本作は、イアンが創造したアグレッシヴなサウンドの求心力によって引き寄せられた、超多彩な才能とのコラボレーションといってもいいかもしれない。

「サウンドを常に進化させて、各音楽の持つ究極的な部分を混ぜ合わせること以外に興味がないんだよ。そういう意味でも、音楽を作る時は自分自身がいちばん厳しい批評家でなくてはならないと思うんだ」。

 現在の彼らは大型ロック・フェスの常連バンドとしてその名を轟かす存在で、今年の〈グラストンベリー〉でも大いにオーディエンスを沸かせていた。

「2年前の〈フジロック〉と、その後のアフター・パーティーは本当に最高だった! 僕たちにとってライヴ・パフォーマンスは、直接リスナーにサウンドを届けることができる重要なものなんだ。そのスタイルが評価されていることに心の底から満足しているよ。早く次のツアーに出たいね!」。

 ただの快楽的なパーティー・モンスターかと思いきや、ストイックな姿勢で音楽と向き合い、ヴィンテージなサウンドを最先端のポップ・ミュージックに革新させてきた彼ら。全方位型で音楽ファンを虜にする『Proof Of Youth』で、さらなるブレイクは必至だ! 来日をこれほど待ち遠しくさせてくれる作品は、本当に初めてかもしれない。

PROFILE

ゴー!チーム
イアン・パートン(ギター/ハーモニカ)、ニンジャ(ヴォーカル)、サム・ドゥーク(ギター)、ジェイミー・ベル(ベース)、カオリ・ツチダ(ピアノ/メロディカ/ギター)、カイ・フカミ・テイラー(ドラムス)から成る6人組。イアンのソロ・プロジェクトから2002年にバンドへと発展。2003年にメンフィス・インダストリーズと契約し、シングル“Junior Kickstart”でデビュー。翌2004年にファースト・アルバム『Thunder, Lightning, Strike』を発表。同作に収録されている“The Power Is On”がナイキのTVCMに起用され、大きな話題を集める。このたび、9月5日にセカンド・アルバム『Proof Of Youth』(Memphis Industries/tearbridge)を日本先行でリリースする。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月13日 23:00

ソース: 『bounce』 290号(2007/8/25)

文/冨田 明宏