こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

ムラマサ☆

ガールズ・スカ・パンク界で話題のバンドが、シーンの先を指し示す新作を発表!!


  〈パンキッシュなサウンドとキュートなヴォーカル〉というのが、現在注目を集めるガールズ・スカ・パンク・シーンに対する大まかなイメージだろう。デビューしてわずか2年でシーンの中心的存在となったムラマサ☆によるセカンド・アルバム『Lifull』は、そのイメージのなかに身を置きながら、さらに先へ向かうことを力強く宣言する作品となった。

 「人生(Life)と同じように、楽しい曲があるから悲しい曲も際立つわけで。このアルバムでそういうものを少しでも表現できたらな、と」(トシヒロ、ベース)。

 ヤンチャに爆走する“SELFISH GIRL!!”がある一方で、「ジッタリン・ジンの“夏祭り”みたいな雰囲気を出したかった」(トシヒロ)という“夢風鈴”があるように、今作は持ち前の疾走感のなかにも激しさと切なさの対比がより際立っている。その成果は、涙腺を刺激する歌詞やメロディーの説得力に表われている。

 「歌詞やメロディーが耳を通り過ぎていくときに、頭のなかで情景や色が浮かぶ曲が〈良い曲〉なんじゃないかな、って思うんですよ」(トシヒロ)。

 また、シーンの〈首都〉である名古屋ではない大阪出身ゆえに「宙ぶらりんな存在(笑)」(ユミ、ヴォーカル)とみずからを評するように、現状への冷静な分析も忘れていない。

 「昔、スカコアが流行ったときのほうが勢いがあったと思うんですよね。だからまだまだなシーンだと思うし」(トシヒロ)。

 KEMURIやSCAFULL KINGらが活躍した90年代スカ・パンクの系譜を受け継ぎ、自分たちがその先の重要なピースであることを彼らは自負している。そして今作で到達したひとつの答えがズバリ、〈変わらないこと〉だった。

 「良い意味でいまのスタイルでやっていきたい。複雑なことをしたくなると思うんですけど、それを上手く使いつつシンプルなものを、っていうのがコンセプト」(ユミ)。

 「みんなの思い出の曲になってほしいっていうのがあって。若い頃を思い出してまたライヴに行こうかなって思ったときに、変わらずそこにいるようにって思います」(マサシ、テナー・サックス)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月13日 00:00

更新: 2007年09月13日 17:22

ソース: 『bounce』 290号(2007/8/25)

文/加賀 龍一