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インタビュー

大城クラウディア

GANGA ZUMBAの歌姫が、自身のルーツに向き合ったソロ・アルバムをリリース!


  南米アルゼンチンを代表する都市、ブエノスアイレス。この地で生まれ育った大城クラウディアのデビュー・アルバム『Claudia』には、言葉や国籍の壁を軽々と越えていく音楽の力を、聴き手に思い起こさせるストーリーが詰まっている。

 「沖縄音楽は小さい頃から歌っていました。初めて組んだバンドは沖縄民謡とか、沖縄民謡をアレンジしたグループ――りんけんバンドやパーシャクラブをカヴァーしているバンドでした」。

 沖縄出身の両親を持つ移民二世の彼女は、その後もJ-Popや演歌のバンドで歌ってきたという。2001年、そんな彼女に転機が訪れる。アルゼンチンの大スター、アルフレッド・カセーロがTHE BOOMの“島唄”を日本語でカヴァー、アルゼンチン国内チャート1位となる大ヒットを記録する。大城はそのレコーディングにコーラスで参加。これが縁となり、アルゼンチンを訪れた宮沢和史との出会いを経て、2003年以降は宮沢のソロ・プロジェクトであるMIYAZAWA-SICK(GANGA ZUMBAの前身)にも参加、活動拠点を東京へと移している。そんな出自を持つシンガーのデビュー作だけに、どんなサプライズがあるのだろう?などと身構えると、リスナーは軽い肩透かしを食うことになる。

 「沖縄民謡を歌うなら、〈なんちゃって民謡〉ではなく、本物に近いものをやりたいなあと。沖縄で録った曲はすべて島の楽器でやりました」。

 東京録音の2曲を除いて、レコーディングには沖縄屈指の唄者・我如古より子のグループを迎え、“てぃんさぐぬ花”などのスタンダードを清々しく演じている。ひょっとすると沖縄生まれの人以上に、沖縄らしさを持っているのかもしれませんね……と訊くと、こんな答えが返ってきた。

 「海外の日系文化っていうのは、昔の考え方や風習が残っていて、それがアイデンティティーになっているんです」。

 そんなピュアな一面がよりくっきり表れるのが、本作のプロデューサーでもある宮沢とのデュエット“二見情話”、そしてハシケンの書き下ろしによる日本語オリジナル曲“美しい島”。

 「沖縄の唄が歌える点と、ラテン的な要素が入っているところが大きかったのかな」。

 GANGA ZUMBAのメンバーに抜擢された理由をこのように自己分析する彼女、なるほど宮沢やハシケンさえもが羨むような2つのルーツが自然体の内に存在している。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月27日 04:00

更新: 2007年09月27日 17:30

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/成田 佳洋