インタビュー

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〈ポスト・ロックじゃない〉――インスト・ロック・シーンで異彩を放つ注目バンドが新作に込めた意志とは?


  従来のロック/ポップスへのカウンターとして育まれた感のあるポスト・ロック・シーン。かつてと比較するとインスト・バンドは増加傾向にあるようだが、何かと対峙するためでなく、逃げ口上として、はたまた雰囲気ものとしてインストに向かう〈なんちゃってポスト・ロック〉も増えている。いわゆる形骸化というやつだ。その点において、2004年の結成以降、着実にライヴ動員を増やしている4人組バンド、teはインストを極めながら、ブレのない視座で聴き手を射貫くように一点突破を図る。昨年から今年にかけて2枚のシングルを発表してきた彼らは、シングルを切っていることからもおわかりのように、典型的なポスト・ロック・バンドではない。

 「USインディー直系なのは僕だけで、他のみんなは聴かないです。よく言われるよね、〈teはポスト・ロックなのか?〉って」(kono、ギター)。

 「ていうか、ポスト・ロックじゃないし(笑)。僕らが聴いてきたのはスキマスイッチだとかスピッツですからね」(hiro、ギター)。

 前作から2年ぶりとなるセカンド・アルバム『それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。』は、インストという抽象的な表現から見い出したテンションが、強烈なサウンドと演奏においてぴたりと一致するピーク・ポイントと、歌心溢れるメロディーが聴き手との接点となっている一枚だ。

 「歌心がないと日本人には響かないし、メロディー作る時も一回歌ってみて、歌えたら実際に付けてみるっていう。去年のアメリカ・ツアーではそういうところにみんな食いついてきたんですよ。そういう体験が今回の作品を作るうえでは大きかったですね」(hiro)。

 masa(ベース)が具体的な一文を与えている29文字のアルバム名、全曲30文字という曲名も逃げのない彼らのスタンスそのものだ。

 「出来上がった曲を聴きながら、まず『』の中の漢字を決めて、曲の特性に合わせて『』の前後を肉付けしていくんですけど、淡泊なタイトルって何のためのタイトルか意味がわからない。インストなんだから、音だけで伝わらない部分をメッセージ性として伝える必要があるし、タイトルだけでも作詞と同じくらい時間がかかってますよ」(masa)。

 〈伝えること〉――彼らはこの取材で何度となくその言葉を口にした。音楽それ自体に言葉はなくとも、〈伝える〉ための強い意志が彼らの昇り調子の勢いを支えている。

▼teの作品を紹介。

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掲載: 2007年10月04日 19:00

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/小野田 雄