インタビュー

Wayne Wonder

レゲエ界随一の美声シンガーが、すべての歌モノ好きに贈るスムースな極上アルバム!


「ウェイン・ワンダーは〈愛〉を歌わせたら最高なんだ」――冗談半分本気半分で、レゲエ界屈指の美声シンガーはサラリと言い放った。おっしゃるとおり。シングル“No Letting Go”の大ヒットから5年が経つけれど、その間も“Gonna Love You”“I Still Believe”“Love And Affection”などコンスタントに糖度高めのビッグ・チューンを連発。それらのヒットに楽器の音を重視したルーツっぽい音や流行りの80's調、スリリングな直球ダンスホールまで混ぜ込んだのがニュー・アルバム『Foreva』だ。

「アルバムの95%はトラック作りの段階からいっしょにスタジオに入った」と語るように、4年を費やしたアルバムは気合い十分。ただし、肩に力を入れずに〈ウェイン節〉を炸裂させているので、スムースに聴ける。目玉のひとつはフィーメイル・ラッパーのトリーナをフィーチャーした“For My Love”。

「彼女は前からいいなと思っていたから、快く引き受けてくれて嬉しかったよ。期待どおりバッチリキメてくれたのはラッキーだった」。

 今作はR&B寄りのレゲエを作らせたら彼の右に出る者がいないことも証明している。

「俺はそのスタイルでずっとやってきたから。“Gonna Love You”のハードコアなビートを抜いたら、アッシャーが歌ってもおかしくないような曲になる。“Saddest Day In My Life”(93年)あたりからのフォーマットだから、もう自然に出てくるんだよね。俺が作る音楽はフルーツ・パンチみたいにいろいろな要素が入っているけど、全体はどうしてもこのスタイルになる」と、ウェイン・ワンダー・スタイルをきっちり自己肯定してくれた。もともとレゲエ界きっての紳士だが、昨年、待望の男の子を授かってからさらに器が大きくなったのは、普遍的な愛を歌う“L.O.V.E.”あたりからも伝わってくる。セルフ・プロデュースが5曲。ほかにもトニー・ケリー、ドン・コルレオーニ、クリストファー・バーチなど一流プロデューサーが勢揃いで、まあ、悪くなりようがない。かなり美味しいウェイン特製フルーツ・パンチ、ぜひご賞味あれ。

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掲載: 2007年10月11日 01:00

更新: 2007年10月11日 17:05

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/池城 美菜子