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インタビュー

『わたしのうた』で披露されている〈うた〉たち!

 10曲入りの『わたしのうた』は洋/邦楽カヴァーで構成されている。選曲は主に畠山が行ったのだが、当初候補リストには50以上もの曲が並んでいたそうで、そのどれもが「機会があったらぜひ歌いたい曲」であったということだ(以下、発言はすべてASA-CHANG)。

 まず、ジャズ系スタンダード・ナンバーものから。ミルドレッド・ベイリーの十八番“Lover Come Back To Me”やマリリン・モンローでお馴染みの“Diamonds Are A Girl's Best Friend”、それにコール・ポーター作の“In The Still Of The Night”、バーブラ・ストライサンドも歌っている“Never Will I Marry”がチョイスされているが、どれもレトロな風味を漂わせた仕上がりだ。注目は、なんとリリー・フランキーとのデュエットによるフランク&ナンシー・シナトラ親子のヒット曲“Somethin' Stupid”だ。 この曲、ロビー・ウィリアムス&ニコール・キッドマンや大滝詠一&竹内まりやのカヴァーも記憶に新しいところ。なおリリー氏は、畠山のアルバムはファーストからずっと好きなのだそう。「そういうことを録音が終わってからボソッと言うんですよ」。

 続いては日本の曲だが、フランク永井の歌で知られる“君恋し”は昭和4年に誕生した和製ジャズ・ソング。今回のカヴァーはスカにアレンジされている。“私の青空”はエノケンこと榎本健一、そして高田渡の歌でも知られる曲(畠山は高田の葬儀で流された彼のこの曲を聴いて以来ずっと心に残っていたらしく、今回カヴァーしたようだ)。そして唱歌の“浜辺の歌”だが、ジェシー・ハリスのプロデュースによる畠山の最新作『Summer Clouds, Summer Rain』でも取り上げられているので聴き比べてみては? 

“小さな木の実”と“津軽のふるさと”はブルーハッツの特殊性が色濃く出た曲だ。前者は椎名林檎もカヴァーしたビゼー作の曲で、後者は美空ひばりの代表曲。どちらもスピリチュアル度が高い不思議なビッグバンド・サウンドが聴ける。後者は、「畠山さんも僕も東北人。彼女はどこかしらその部分を拭い去れないタイプだと仕事してみてわかった。そのうえでドラムを叩いたから、どう聴いても日本の太鼓っぽくなってる」という。

 最後に。畠山は今回のアルバム制作において、チャーリー・ヘイデンのフリージャズ楽団、リべレーション・ミュージック・オーケストラのサウンドを少し意識していたということをお伝えしておきたい。
▼関連盤を紹介。


フランク・シナトラのベスト盤『Frank Sinatra's Greatest Hits!』(Warner Bros.)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年10月18日 22:00

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/桑原 シロー

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