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圧倒的な才能が生み出すソウル・フィーヴァー……期待の冒険野郎がアルバム・デビュー!!
ロウ・フュージョンから昨年リリースしたコズミックなソウル・トラック“Soul Fever”がジャイルズ・ピーターソンの自選コンピ『Brownswood Bubblers』に収録され、ベンジ・Bやパトリック・フォージら大物DJたちにも熱烈なサポートを受けるなど、〈大型新人〉として賞賛を浴びているシンバッド。とはいえ、ロンドン在住のフランス人クリエイターである彼は2000年頃からさまざまな名義でリリースを重ね、マラソン・メンなどのユニットではアルバムもリリースするなど、新人と呼ぶには不相応なキャリアの持ち主ではあるが……そのサウンドがフレッシュであることに変わりはない。
ともかく、今年2月に来日してDJツアーを敢行し、日本でもジワジワと期待を高めてきた彼が待望のファースト・アルバム『Supersonic Revelation』をリリースした。そのコンセプトについて彼自身はこう説明する。
「これは俺自身のプロダクションや、友人の才能を披露するためのショウケースだよ。どのスタイルの楽曲もフレッシュにクリエイトできたと思うし、いろんなヴァイブスが漂っている。本心では40曲ぐらい収録したかったんだけどね(笑)。まあ、音は二の次みたいにして商業的な成功を収める方法もあるだろうけど、何があろうと良い曲は良い曲としてずっと残ると思うんだ。俺は後者のやり方を選んでいきたい」。
自身の影響源について、「マイルス・デイヴィス、ムーディーマンらデトロイト系のアーティスト、IG・カルチャーは間違いないし、ロイ・エアーズにチャールズ・ステップニー、J・ディラ……」と名を挙げる彼の引き出しの多さは、アルバムを一聴しただけでわかるだろう。ブーティーなグライム調の“Knock On My Door”、テック・ソウルなマーヴィン・ゲイのカヴァー“After The Dance”、「俺なりのハウス」だという簡素なクラップ・チューン“Ain't No Sunshine”など、『Supersonic Revelation』は逸曲で埋め尽くされている(日本盤には“Soul Fever”のカリズマ・リミックスも収録!)。ジャズや70年代ソウルをベースにしたシンバッドのダビーなビート世界を明確に説明するのは難しいが、そのすべてが高品質であることは間違いない。
ちなみにそのアーティスト・ネームは、かの「千夜一夜物語」の船乗りに由来するものだとか。さまざまなシーンを縦断するシンバッドの航海はまだ始まったばかりだ。