インタビュー

WOUTER HAMEL

とびきりカラフルでポップなジャズを聴かせるオランダのシンガーがデビュー!!


 
  キラリと光る新星登場! 新世代のエヴァーグリーン・ポップを聴かせる話題の才人、ベニー・シングスを輩出したオランダはドックスが送り出す新たな才能がこちら、作詞作曲もこなすシンガー/ギタリストのウーター・ヘメル。PJ・ハーヴェイやスマッシング・パンプキンズを聴いて育ち、その後オールド・ジャズに感銘を受けて作曲を始めたという彼が作り出す音楽は、まったくレコード屋泣かせ。ジャズ・コーナーで扱うか、それともポップスの棚に並べるか、とにかく括りにくいサウンドなのだ。でもそういった音楽こそ、リスナーには魅力的だったりするわけで……。彼の歌声はシルクのようにスムースかつ艶やか。ジャズ・ファンならば、メル・トーメやフランク・シナトラを例に挙げるだろう。

 「彼らと僕に共通しているのはその声の音質と幅かな。でも、僕の声のほうがメル・トーメよりちょっとだけラフだといいなと思うけど」。

 先述のベニー・シングスがプロデュースを手掛けた彼のデビュー・アルバム『Hamel』は、いにしえのジャズ・シンガーよろしくジェントル&スムースな歌唱を聴かせる導入部から一転、弾けるようなスウィング・ポップへと変化する“Details”で幕を開け、爽やかなAOR風ナンバー、そして良質な70'sポップスを思わせる楽曲へと、カラフルな色彩を帯びながら進行していく。

 「2006年の暑い夏を過ごす間に、アイデアがどんどん形になっていったんだ。ベニーはジャズ・サンプルを使うコツを掴みはじめて、ベニーの隣に座った僕はコード進行が浮かび上がってくる感じだった。そうするとサウンドがどんどんクリアになっていったんだ。僕の書いた曲はベニーの作り出すビートやストリングス、ホーンと、ホントに相性が良かったんだよ」。

 ウーターが持つジャズのバックグラウンドとベニーのポップなアプローチ&遊び心のあるアレンジ・センスは完璧に調和し、眩いばかりの輝きを放つキャッチーなメロディーが、ジャズとポップスの歴史を滑らかに溶け合わせていく。ここからの楽曲が、いったいこれからどれくらいのリスナーのライブラリーに加えられ、DJたちにプレイされ、ミックスCDに収録されることだろう。ウーターとベニーの幸福な出会いによって生まれたこの『Hamel』は、ベニーの作品同様にジャンルの垣根を越えて、数多くのミュージック・ラヴァーをトリコにするに違いない。

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掲載: 2007年11月22日 11:00

更新: 2007年11月22日 17:24

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/吉村 健