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インタビュー

Good Dog Happy Men

〈the GOLDENBELLCITY〉3部作がニュー・アルバムで完結! この〈いちばん新しいおとぎ話〉で彼らが伝えたかったことって?


  形式に囚われないスタイルで、ストーリー性溢れる楽曲を発表してきたGood Dog Happy Menが、ついにファースト・アルバム『the GOLDENBELLCITY』をリリースする。そのテーマは〈いちばん新しいおとぎ話〉。

「ジェラシーを感じてたんです、伝承されてきた文化に対して。お祭りもそうだけど、フォーマットは変わらないのにそれを体現する人たちは変わってるじゃないですか。そういう文化のエネルギーは素晴らしいなって。だから自分たちでいちばん新しいおとぎ話を作ろうと思ったんです。それがあわよくば伝承されていけばいいなと」(門田匡陽/ヴォーカル、ギター:以下同)。

 描かれているのは壮大な絵巻物のようで、「いまの世界をおとぎ話に持ち込んで、半径5メートル以内のことにしたくて。だから単純に質量が必要で、3部作になったんです」というとおり、今作の前章として2枚のEPがリリースされている。そうした質量も壮大ながら、そこに革新性を与えているのは、曲の世界観に合わせてさまざまな時代の録音方法を用いていることだ。いま現在最先端の音も、1920年代に鳴っていた音も本作には共存している。

「例えば東京なんかで言うと、渋谷は近代的で、かたや浅草みたいな伝統を感じる街もある。ひとつの都市に新しい文化も古い文化もあるんですよね。過去があっていまがある、それを音楽で表現したかったんです」。

 いろんな時代が共存すると混沌とするのではないかと思うが、その混沌こそがいまのリアル。それを表すように、彼らの楽曲は混沌としている。しかしアヴァンギャルドな雰囲気ではなく、誰もが受け入れやすい響きだ。

「混沌がアヴァンギャルドというアートに昇華されるにあたって、たぶん背伸びが必要なんですよ。俺たちはそうしてない。普通に混沌なんだから。だけどそこに絶望はなくって希望があるって俺は思ってる」。

 また、「ダンボールを叩いたり、ワイングラスで乾杯したときの音を入れてみたり。この世に楽器じゃないものは存在しないから」と言うように、ギター・ロックを軸にしながらさまざまな音がパレードのように散りばめられ、独自の音世界が築かれている。老若男女問わず、あらゆる人を笑顔にする音楽――まるで、世界が音楽に溢れたら幸せになれるというメッセージのように。また、それを伝えるにはハンパなやり方では通用しないことも肝に銘じている。

「作り手として人に〈聴かせる〉ためには、他と違う視点で試行錯誤するのがあたりまえ。〈人前で表現する〉っていうことのスタンダードを俺たちは見せつけた気がする」。

 そんな志が、希望に溢れる〈いちばん新しいおとぎ話〉に繋がった!

▼Good Dog Happy Menが2007年に発表したEPを紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年12月13日 00:00

更新: 2007年12月13日 17:29

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/高橋 美穂