インタビュー

STAN

新生STANが放つ一発目のシングルは、彼らがめざす〈これから〉が詰まった意欲作! さて、どれだけマジヤバくなるんだい?


  2004年にリリースされたデビュー・アルバム『STAN』の冒頭曲“ULTRAMAGNETICSTANS”において、〈誰より僕等メロディーがいい/誰より僕等リズムがいい/誰より僕等アレンジがいい/STAN マジヤバイ〉と日本のロック・シーンに痛快な啖呵を切った3人組、STAN。これまでにリリースした3枚のアルバムを通じて大胆不敵なロックを鳴らしてきた彼らが、新曲4曲+ライヴ・テイク5曲(ほぼ代表曲的セレクション!)から成るニュー・シングル“THE FIRE”を発表した。

 「前のアルバムから1年ちょい空いたんですけど、その間に出来た曲がいっぱいあるんですよ。今回はそのなかからSTANの個性が特にとんがっている曲を集めた感じですね」(西井鏡悟、ヴォーカル/ギター:以下同)。

  今秋、トリオの一角であるベーシスト、今西宏徳が研究者としての道を歩むべく脱退し、中嶋幸志が加入。「俺と(ドラムスの)吉田(清志)君がムチャクチャやっても、常識の範囲内に調整してくれる(笑)」という敏腕2代目ベーシストを迎えた第2期STANのお披露目盤でもある本作は、「バンドの激しい部分がいちばん出てます」という言葉どおり骨太のギター・リフと破壊的なリズムにKOされる“THE FIRE”に、「メロディーの良さ。ポップな部分」を強調した彼ら史上最高レヴェルのキャッチーさを誇る“アメジスト”。そして「ニュースを読んでるイメージで、本当のことを言ってやろうみたいな事実だけを述べた曲」とメッセージ性を打ち出した“多くの人達”に、「ギャグですね。皮肉っぽいところを出した曲です」というインパクト大のタイトルに驚嘆させられるコミカルなミッド・チューン“頭の悪い奴等は醜くそして見苦しい”から成る。これらは彼らの持つ資質を4パターン、克明に提示したものであると同時に、彼らの今後を映す鏡ともなっているのだ。

 「もうちょっと、俺らをちゃんと見て、みたいな(笑)。今回で言えば“頭の悪い奴等は醜くそして見苦しい”って題名とか、俺たち誤解されるようなことをいっぱいやってきたからなんですけど、ヘンな先入観を持たれがちで。それを払拭していきたいですね。サウンドはこれからも自分たちが格好良いと思うものを演っていくと思うんですけど、歌詞はこの作品からより真剣になっているというか、内に向いてきているところがあります。今後もそういった部分を押し進めていく予定です」。

 シニカルでユーモラスな視点は失うことなく、みずからの本質を剥き出しにしはじめた彼ら。〈STAN マジヤバイ〉――今度は、あなたがそう叫ぶ番だ。

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掲載: 2007年12月27日 18:00

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/土田 真弓