MASS OF THE FERMENTING DREGS
神戸発、轟音と共にセンチメンタリズムを響かせる新星女子バンド登場!!
昨年はレコード・メーカーが主催した〈Road To Tarbox Audition〉で最優秀アーティストに選ばれ、正式音源がない状況でフジロックの〈ROOKIE A GO-GO〉へ出演。その激烈なライヴ・パフォーマンスで、集まった観客にトラウマ的衝撃を与えているMASS OF THE FERMENTING DREGSは、神戸発の女子2人組ロック・バンド。その名がじわじわと全国区へ広がってゆくなか、彼女たちのファースト・アルバム『MASS OF THE FERMENTING DREGS』がリリースされた。全6曲中2曲のプロデュースをデイヴ・フリッドマンが手掛けた本作は、「〈せーの〉で演らないとグルーヴが出ん」という宮本菜津子(ベース&ヴォーカル)の言葉どおり、全曲がほぼ一発録り。螺旋状に絡み合いながらダイナミックにうねるギター、ドラム(レコーディング時はドラムの後藤玲子も在籍していた)、ベース。少女性が見え隠れするまっすぐな歌声。攻撃的に刻まれる変幻自在のリフと、荒涼とした轟音が激しくせめぎ合うオルタナティヴなサウンドは、彼女たちが放つ衝動を鮮やかに映し出している。
「自分たちが演ってる音楽って、あんまり隙間がないような気がします。リフか轟音かメロかで、間(ま)を埋め尽くしてる感じ」(宮本)。
「その〈埋め尽くしてる感〉が、勢いになってるんかな?」(石本知恵美、ギター&コーラス)。
「ようわからんなぁ。セッションから曲を作ったりするんですけど、ネタ出しの時はなんも考えてないですね」(宮本)。
「他のふたりのフレーズを聴いて反応してはいるんですけど、後で〈あそこのフレーズが良かった!〉って言われても、〈え? 何弾いてたっけ?〉って訊き返すことがよくあります」(石本)。
気持ちいい音が鳴る方向へと無意識に向かったフレーズを精査することでスリリングな緩急を生み出し、その大きな〈揺れ〉のなかに一抹のセンチメンタリズムを浮かび上がらせる楽曲群。なかでも白眉となるのは、デイヴのプライヴェート・スタジオ=タルボックスで録音された“I F A SURFER(イーファ・サーファー)” “ベアーズ”だろう。
「元々は“I F A SURFER”1曲をデイヴに録ってもらう予定だったんですけど、デイヴが〈YouTube〉で“I F A SURFER”と “ベアーズ”をぶっ続けで演ってる映像を見て、合わせて1曲だと思ってたみたいで。結局、2曲録ってもらえることになりました(笑)。タルボックスは、スネアをバン!って鳴らしただけでも響き方がものスゴい! 〈ここに来て、やる気が出えへんバンドはいないやろなぁ〉っていう場所でした。デイヴもナイスガイで(笑)。ようわからんような日本人の女の子3人と対等に向き合って、作業してくれてるのがすごく伝わってきて、感動しました」(宮本)。
「それで出来上がった音を聴いてみたら、すごい広がりがある感じになってて。〈うわゎゎー、(デモ音源と)全然違うー! でもイイ-!!〉って驚きましたね(笑)」(石本)。
「(デイヴがプロデュースした)ナンバーガールとかを聴いてても、残響感というか、鳴り方がハンパじゃないですよね。タルボックス・マジックです、きっと(笑)」(宮本)。
帰国後、残り4曲をセルフ・プロデュースで仕上げ、ようやく完成した初音源。これが自信作であることは、リリース直前の心境を語った宮本のコメントからも明らかだ。
「いまの自分たちを〈どや!〉って出した音を、早く聴いてもらいたい。でも、音源ができてから発売まで、けっこう期間があるじゃないですか? もう、早く出んかしら、ってずっとやきもきしてました(笑)」(宮本)。
MASS OF THE FERMENTING DREGS 『MASS OF THE FERMENTING DREGS』
1. delusionalism
2. ハイライト(試聴する♪)
3. skabetty
4. エンドロール
5. I F A SURFER(試聴する♪)
6. ベアーズ