インタビュー

Last Winter

ダイナミックなサウンドと、涙がこみ上げるほど美しいメロディー──このバンドはタダモノじゃない!!


  〈エモとモダン・ロックの融合〉を掲げ、2002年にフロリダで結成された5人組、ラスト・ウィンター。輸入盤がロングセラーを記録している彼らの最新作『Under The Silver Of Machines』が、このたび日本盤化された。バンドは以前に『Transmission : Skyline』というアルバムをリリースしているが、そこに入っていた曲もリアレンジが施され、今作に収められている。これまでの活動をいま一度振り返っているようにも思えるが、自分たちとしては今回のアルバムをどのように位置付けているのだろうか?

 「これが本当の意味でのファースト・アルバムだと考えているよ。いままで一生懸命やってきたことの最高到達点だね」(キャメロン・ミゼル、ヴォーカル:以下同)。

 このように自信満々に語る今作は、キャメロンみずからがプロデュースを手掛けた渾身の一枚だ。レコーディングは彼自身が所有するスタジオで行い、同郷のバンドであるアンダーオースのジェイムズ・ウィズナーからアドヴァイスを受けつつ、作業に取り組んだという。

  「僕らのレコーディング・セッションは最初の数時間にバッチリ仕事をして、あとはブッ飛ぶくらい楽しむ……って感じなんだ(笑)。とても楽しい作業だよ」。

 〈ブッ飛ぶくらい楽しむ〉――すなわち誰かに指示されたり制限されたりすることなく、自分たちの思うままに作り上げたというわけだ。ここで聴けるメロディアスで力強いサウンドは、彼らのめざす〈エモとモダン・ロックの融合〉が理想的な形で実現されたものに仕上がっている。あえて他のバンドの名前を引き合いに出すとすれば、いまや彼らの世代を代表するスターとなったマイ・ケミカル・ロマンスや、ヘヴィー・ロックのフィールドを飛び出したロストプロフェッツあたりだろうか。つまりそういったバンドたちと同じように、ラスト・ウィンターもメジャー・フィールドで大ブレイクする可能性を秘めているのだ。

 「すでに次のアルバムを作りはじめているけど、新作はもっと自分たちがハッピーになれる、本当に心を込めたアルバムになると思うよ」。

 来たるべき次作は彼らにとってのターニング・ポイントになるだけでなく、もしかしたらシーン全体を揺るがすことになるかもしれない。これから全米ツアーに出るとのことなのでリリースはまだ先になると思うが、いまは『Under The Silver Of Machines』を繰り返し聴きながらその時を待ちたい。

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掲載: 2008年01月17日 13:00

更新: 2008年01月17日 17:40

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/粟野 竜二