インタビュー

ENDZWECK

幅広いフィールドにその存在を知らしめてきたハードコア界の〈兄貴〉が結成10周年!


  90年代半ばより世界中の音楽シーンを席巻した、いわゆる〈ニュー・スクール・ハードコア〉と呼ばれるバンドが数多くひしめくなか、このたびニュー・アルバム『THE NAKED AND THE DEAD』をリリースしたENDZWECK。2007年で結成10周年を迎えた彼らは〈誘われたライヴにはなるべく出演する〉という方針のもと、パンク、メタル、ミクスチャー、ロック、フォーク、ヒップホップなど、実に幅広いアーティストらと共演し、これまで独自の道を切り拓いてきた。

 「もともと、僕らはそんなにハードコアばかりの中でやってきたわけじゃないし、最初はミクスチャーやメロコアといっしょにやるほうが多かった」(望月昭文、ドラムス)。

 その結果、いまや各方面の若手バンドが、彼らからの影響を公言している。

 「そう言われるのは嬉しいけど、最初はまさか10年も続くとは思ってなかったし、いまだに仕事をしながらバンドをやってるわけで……(苦笑)」(山口博久、ギター)。

 「バンドはライフワークみたいなもの」(望月)と言い切ってしまう潔さは自然体そのもの。ニュー・アルバムで聴くことのできる彼らのサウンドは、ファストなテンポでアグレッシヴに攻めつつも、2本のギターが奏でるどこか憂いを帯びたメロディーが聴く者の耳を捉えて離さない。いまや、社会や他人に対する怒りをブチまけるばかりがハードコアなのではなく、ENDZWECKのような己の内側に秘めた葛藤を瞬時に爆発させたかのような激情サウンドも、ハードコアのひとつの進化形と言える。だが、常に外のフィールドに向かって勝負してきた彼らだからこそ、やはりハードコアに対する思い入れは深い。

 「ハードコアの良いところは、バンドだけじゃなくて客もカッコイイところ。客がステージに上がってきて、マイクを奪ってシンガロングしたり、ああいうのは他にないんじゃないかな? やっぱり客も参加できるところが、他のジャンルとのいちばんの違いだと思う」(山口)。

 来たる2008年1月末には海外の人気バンドを呼び、〈PUMP UP THE VOLUME〉というフェスを行うENDZWECK。ハードコアの持つ無限の可能性を追求し、新たな道を歩み続ける彼らに、まだまだ終わりは見えそうにもない。

▼ENDZWECKの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年01月17日 14:00

更新: 2008年01月17日 17:46

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/塀戸門家