ala
2005年発表のミニ・アルバム『Point of view』以来、さまざまなフロアを揺らせてきた雑食バンド、ala。サックス×2、ヴォーカル×2の7人編成である彼らは、もともとSCAFULL KINGからの影響でキャリアをスタートさせたという。だが、その存在は数多の〈SCAFULLフォロワー〉とは明確に一線を画す。ソウルのエッセンスを盛り込んだ流麗なメロディーと、ラテン音楽から現行のR&Bまでを拾い上げた機能的なビート構造――リズムとメロディーの関係を考え抜いた末に生まれたala流のダンス・ミュージックは、様式を打ち破るインパクトと快楽性を含んでいる。
「alaの音楽はゴッタ煮で、いろんなものを詰め込んでいるから、捉え方もさまざま。聴くシチュエーションによって、イメージがいろいろ違うんじゃないかと思ってます」(YUKI ARAI)。
そんな発言どおりにメジャー移籍後初となるミニ・アルバム『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』は世代を選ばず、さまざまなリスナーを呑み込む仕掛けが大量に投入されている。すべての楽器がリズム・パートを請け負いながら、同時にメロディーを奏でているかのようで、そこには何の矛盾も見られない。さらに溢れ出る〈パーティー感〉は、年間100本近いライヴをこなす彼らの核が滲み出たものと言ってもいいだろう。
「僕らはライヴを楽しみたくて音楽をやっている。こんなことを言うと不真面目に聞こえるかもしれないけど、遊んできたことの集大成がライヴなんです」(YUKI)。
「ライヴを想像しながらレコーディングすることがほとんどですね。作り込んだ曲でも、ライヴで再現できるようにアレンジしています。練習の量が多いのも、ライヴを楽しみたいだけなんです。スタジオ音源とライヴの差がないようにしたいから」(KOHTA SUZUKI)。
とにかく〈ライヴ至上主義〉な彼ら。ストイックに見えるかもしれないが、自分たちが楽しめるかどうかを何よりも追求した結果そうなったのだろう。それはつまり、音楽に対する純粋な気持ちのみがメンバーたちを突き動かしている、と言い換えてもいい。
「リアルタイムで聴いていない人が聴いても良いと思われる音楽を作りたいんです。洋服でも、デザインが好きとか、形が好きとかいろいろありますけど、結局〈何だかわかんないけど好き〉っていうことが多くて。だけど、デザインをしている人は、こっちが〈わかんない〉部分に情熱を注いでいる。それと似たような感覚で音楽をやっていきたい」(YUKI)。
この取材中に彼らの口から何度も出てきたのが、〈直感〉という言葉だ。ひと昔前であれば、雑食的に音楽を摂取し、それを自分たちのアウトプットに組み込むタイプのアーティストは、評論家並みの知識を持って音楽を体系的に図式化してきた傾向がある。ところがalaにはそういった部分がまったく見えてこない。
「メンバー同士で話しているときも、〈こういう理由だから良い〉じゃなくて、〈カッコイイ〉が基準。聴く音楽も、誰が作っているかは関係ない。単純にカッコイイものが良いもの。音楽って論理的にやっても決して良くならないと思っているから」(YUKI)。
「いろんな人のインタヴューを読むと、もっとうまく自分たちのことを説明できたほうがいいとは思うんですけど、俺はそんなに自分の音楽について語りたくはないですね。音楽なんだから、まずは聴いてもらって、それで〈好き/嫌い〉の判断をしてもらう以外に何があるんだって」(TEPPEI SEINO)。
自分たちの感覚に対して忠実に、快楽を放出するパーティー・バンドの真価が発揮された本作。貴方も〈まず聴いて〉から判断してほしい。
PROFILE
ala
YUKI ARAI(ヴォーカル)、SEIJI SATO(ヴォーカル)、KANA KOGUCHI(アルト・サックス)、TAKAHIRO KURUMA(テナー・サックス)、KENTARO MIURA(ギター)、KOHTA SUZUKI(ベース)、TEPPEI SEINO(ドラムス)から成る7人組。2003年に東京で結成され、2004年にデビュー・アルバム『Happy go lucky』を自主リリース。2005年にミニ・アルバム『Point of view』、翌年にはファースト・フル・アルバム『Jam of the year』を発表して注目を集めていく。2007年に発表したUNCHAINとのスプリット・シングル『WE'VE GOT SOMETHING』が話題を呼ぶなか、1月30日にメジャー第1弾のミニ・アルバム『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』(fluctus)をリリースした。